レイプ被害者の心の傷をえぐる質問
ある男性からレイプされたと主張する女性が、男性に対する接近禁止命令を求めて起こした裁判で、米ニュージャージー州のジョン・ルッソ裁判官が、被害者の女性に「不適切な質問」をしていたことが倫理委員会の報告によって明らかになった。

裁判が行われたのは今から約3年前の2016年。法廷でのやりとりを記録した報告書によると、女性が被害にあった時の状況を説明した際、ルッソ裁判官が「誰かから性交渉を求められた時に、それを止める方法を知っていますか?」と質問。
女性が「逃げること」と答えると、続けて「足を閉じましたか?警察に連絡しましたか?このどちらかをしましたか?」と、被害にあった当時の女性の行動に疑問を呈したという。結局、ルッソ裁判官は被害者女性の要求を却下。レイプ被害は“なかった”という判断を下した。
これらの質問をした理由について、ルッソ裁判菅は事件の詳細を知るためであって、被害者の女性を傷つけたり、恥をかかせたりする意図はなかったと説明しているが、倫理委員会は接近禁止命令を出すかどうか判断するのに“不要な質問”であったと判断。さらに、ルッソ裁判官には過去にも何度か違反とみられる言動があったことから、倫理委員会は3ヵ月の停職処分と、法廷での“適切な振る舞い”を学ぶ研修への参加義務を提言している。
ちなみに、ルッソ裁判官は今年7月に行われる最終審理の前に、倫理委員会からの提言に返答をすることができるという。(フロントロウ編集部)