クリステン・スチュワートが自身が同性愛者だと宣言したことに、今になって後悔の色をにじませている。その理由って? (フロントロウ編集部)

カミングアウト当時はプレッシャーに圧倒されていた

 2016年にその約1年ほど前から交際していた女性映画プロデューサーのアリシア・カーギルと恋愛関係にあることを明言し、その後、高視聴率番組『サタデー・ナイト・ライブ』のモノローグで「私はゲイ」とさらりと発言して同性愛をカミングアウトした女優のクリステン・スチュワート

 その後、ほどなくしてアリシアとは破局したものの、現在までに人気モデルやアーティスを含む、さまざまな女性たちと交際し、自身の恋愛事情を包み隠すことなくオープンにしている。

画像: 現在はファッションブロガーのサラ・ディンキンと交際中。

現在はファッションブロガーのサラ・ディンキンと交際中。

 当時、自分のセクシャリティを明言したことについて、「過去の(男性との)交際については一切話してこなかったけど、女の子と交際を始めた途端、自分が何かポジティヴなことを発信できるって気づいたの」(T Magazine誌に語って)、「たとえそれが一人であっても、自信を与えられるなら、自分を少しだけ明け渡そうと思う機会になった」(The London Sunday Times 紙に語って)と話していたクリステン。

 しかし、最近になり、必ずしもカミングアウトする必要は無かったのではないかと、以前とは少し考えを変えたよう。

 近年、LGBT+への関心がますます高まるなか、自分の性的指向やセクシャリティについて、「あえて定義したり、明言したくない」と考える若者が増えている。

画像: カミングアウト当時はプレッシャーに圧倒されていた

 フロントロウでは、その背景には「決めつけられたくない・縛られたくない」という若者らしい思いと、ストレートやゲイといった区別があることこそが差別を助長するという考えから「マイノリティに対する差別をなくしたい」という思いがあると解説したが、クリステンもこの若い世代の考え方に共感しているよう。

 最新主演映画『ジェレマイア・ターミネーター・リロイ』のプロモーション活動の一環で米Associated Pressとのインタビューに応じたクリステンは、そんな現状を踏まえ、カミングアウトした当時の自分を振り返ってこんな風に語り、ほんの少し後悔の色をにじませた。

画像: 『ジェレマイア・ターミネーター・リロイ』のLAプレミアにて。共演者のローラ・ダ―ンと。

『ジェレマイア・ターミネーター・リロイ』のLAプレミアにて。共演者のローラ・ダ―ンと。

「(カミングアウトした時は)ものすごいプレッシャーを感じていたの。もし自分が(ストレートかゲイの)どちらかだって断言できなきゃ、もう一方を見捨てることになるような気がしてすごく不安だった」


若い世代の考え方に賛同

 世間から注目を浴びる立場であるがゆえに、プレッシャーに押されてカミングアウトに踏み切ったことを認めたクリステンは、こう続け、あえて自分を“位置づけ”しない今の若者たちを応援している。

「自分を(性的指向やセクシャリティによって)分類しなくてもいいっていう風潮は、より誠実でいいと思う。だって、今、高校とかでこんな話題について話したら、きっと若い子たちは呆れた顔をして『なんで何でもかんでもそうやって複雑にしちゃうわけ? 何でも自分の好きなようにすればいいじゃん』とか言うんでしょ。それって、私がずっと追い求めてた状況だよ。だから、ありがとうって言いたくなる。若者たちよ、どんどんリードして。この流れはすごく良いから」

 もちろん、自分のアイデンティティを探求するうえで、性的指向やセクシャリティを定め、それを公言することで、より自由に、楽しく生きられる人も多い。しかし、あえてそれを公言しないことも、個人に与えられた自由であり、権利でもある。

 クリステンは、「女の子が好きだろうと、男の子が好きだろうと、それは自分自身の内面を語るうえでは、説明の序章にもならない」と、性的指向やセクシャリティはその人のすべてを表すものではなく、たくさんある側面のうちの1つに過ぎないとも語っている。

画像: 若い世代の考え方に賛同

 「私たち社会はまだ、アイデンティティというものの複雑さをうまく説明する言葉を持ち合わせていないように感じるの」と、どんどん進化する若者たちの文化に比べ、社会全体としてはまだ、ジェンダー・フリュイディティ(性の流動性)やセクシャリティの定義づけに関して苦戦していると分析したクリステン。

 自身が初めて監督としてメガホンを取る現在制作中の伝記映画『The Chronology of Water(ザ・クロノロジー・オブ・ウォーター)』では、水泳選手からアーティストへと転身を遂げた実在するバイセクシャル女性の波乱万丈な生涯を描くことを通じて、性別やセクシャリティなどにまつわる難しいトピックにも焦点を当てたいと語っている。(フロントロウ編集部)

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