6月8日に開幕され、7月8日に決勝戦が行なわれる女子ワールドカップ2019。強豪チームのアメリカ代表が決勝戦に進出したが、彼女たちが起こした「ある行動」がチームの人気をさらに高めている。(フロントロウ編集部)

アメリカ女子代表フィーバー発生中、一体なぜ?

 6月からフランスにて開催されている、FIFA女子ワールドカップ2019。7月8日午前0時(日本時間)には、アメリカ対オランダの決勝戦が行なわれる。

画像: 7月3日に行なわれたアメリカ対イギリスの準決勝の様子。

7月3日に行なわれたアメリカ対イギリスの準決勝の様子。

 世界中で10億人以上が視聴していると言われる今大会で例年に増してとくに注目を浴びているのが、アメリカ代表。対フランス戦のチケットはセカンドマーケットで150万円もの売値がつき、アメリカ女子代表サッカーチームの略称である「USWNT」はツイッターでたびたびトレンド入り。ザック・エフロンやバラク・オバマ元米大統領をはじめ多くのセレブも観戦に熱狂している。

 そんなアメリカ女子代表が例年以上の注目を浴びているのは、彼女たちが全女性の未来を変える“ある行動”を起こしているから。

同じ仕事量ならば同じ報酬を払ってほしい

 アメリカ女子サッカーチームが行なっている行動とは、男女の賃金格差への反発。

 米女子がワールドカップで3回優勝しているのに対し、米男子は0回(最高順位3位)。しかし給与・ボーナス共に男子の方がはるかに高額をもらっている。例えば今大会の契約では、準々決勝まで進んだ時点で米女子には各約990万円のボーナスが支払われたが、彼女たちが男子だった場合には各約6,000万円をもらっていたことになると英Guardianは算出する。

画像: 女子サッカーW杯アメリカ対イングランド戦で「同等のプレー、同等のペイ」というプラカードを掲げるファン。

女子サッカーW杯アメリカ対イングランド戦で「同等のプレー、同等のペイ」というプラカードを掲げるファン。

 一部では男子の方が人気や収益が高いからだとする声もあるが、FIFAはパッケージで放映権を売っているためイベントの収益で男女の差はないと英BBCは報じている。さらに前回のワールドカップ2015では、米女子がなでしこジャパンと闘った決勝戦がアメリカにおける男女を通した全サッカー試合の最高視聴数を更新した。

 この状況を受けて、アメリカ女子サッカー代表チームの全選手28名は、ワールドカップが始まる前の2019年3月8日に、アメリカサッカー連盟を相手取って性差別訴訟を起こした。

 そしてその後のワールドカップで次々と勝ち続け、自分たちには男子と同等の給与をもらう価値があることをテレビ中継を通して発信。そんな背景もあり、米女子サッカーチームへの応援は例年以上にヒートアップしており、SNSでは、「この女性たちに正当なお金を払ってあげて」「このチームは革命を起こそうとしている」といった応援コメントが毎試合見られている。

「アメリカ女子代表チームがタイを相手にフィールドに立つ今日、選手たちは平等な賃金を求めて闘っています。彼女たちのフィールドの外の闘いにも注目してください。アメリカ女子サッカーチームに平等な賃金を与えるときです」

―アメリカ合衆国大統領選挙に出馬中のカマラ・ハリス議員、2019年6月のツイート

「アメリカ女子サッカーチームの大勝を受けて、民主党女性連盟はアメリカサッカー連盟に給与格差を解消するよう求める書状を送りました。女性アスリートが闘う対象が世界タイトルやゴールドメダルだけになるように、今すぐにフェアな待遇を受けるようになるべきです」

―アメリカ民主党女性連盟、2019年7月のツイート

女子サッカーがフィールドから起こすムーブメント!

 同じ仕事をしているのに女性と男性の給与に差があるのは、サッカー界だけの話ではない。

 2014年の調査(※)では、男女に同等の賞金を支払っていたのは35競技中25競技。差がある10の競技すべてにおいて男子の方が高かった。これには、「男子の方が人気があるから男女差別ではない」という意見が出ているが、欧米では女子の方が人気が高いフィギュアスケートや体操では女子の給与は男子を上回っていない。※2014年のPrize money in sport BBC Sport studyより

画像: 私が選手になる時には平等な賃金を、と訴えるプラカードを掲げるキッズファン。

私が選手になる時には平等な賃金を、と訴えるプラカードを掲げるキッズファン。

 男女間の賃金格差はスポーツ界に限ったことではなく、例えばアメリカの会社役員では男女間に約400万円の年収差があると米婦人協会AAUWが2017年の調査で発表している。このような男女の賃金格差はアメリカだけの話ではなく、世界各国で見られている。

 こんな現状のなか、ワールドカップを通して男女の賃金格差の問題にスポットライトを当てて、システムを揺るがそうとしているアメリカ女子サッカー代表。彼女たちの行動が変化を生めば、スポーツ界のほかの競技に影響が出ることは必至で、賃金格差における世界的なムーブメントを起こすポテンシャルさえ秘めている。

 アメリカ女子サッカーチームが出場するアメリカ対オランダの決勝戦は、日本時間8日の午前0時にキックオフする。(フロントロウ編集部)

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