70歳のゾウの素顔
アジア3大祭りの1つとも言われる、スリランカで毎年行なわれるエサラ・ペラヘラ祭。その見どころの1つとして挙げられる、電飾に輝くゾウたちのパレードだけれど、その衣装の下に隠された秘密に衝撃が走っている。
アジア諸国のゾウを保護する活動を行なうSave Elephant Foundationが、その実情をFacebookで伝えた。
「彼女は、病気を患っている70歳のメスのティキーリです。彼女は、スリランカで開催されるエサラ・ペラヘラ祭で、今年強制的に働かなくてはいけない60頭のゾウのうちの1頭です。ティキーリは10日間毎日、夕暮れから夜遅くまで、騒音や花火やタバゴにまみれたパレードに参加します。人々が祝福されていると感じさせるために、ティキーリはお祭りの間、毎晩何キロも歩かなくてはいけません。彼女の骨が見えるほどガリガリな身体や、その弱っている状態は、彼女が身に着ける衣装に隠されているため誰も目にしません。眩しいライトでデコレートされたマスクに傷つけられた彼女の目から流れる涙も誰も見ません。彼女の足に巻かれた鎖が彼女の歩みを邪魔するところも誰も見ません」
写真に写るティキーリは、皮の下の骨が見えるほどガリガリ。苛酷な環境下で70年も生きてきたティキーリに心を痛めるSave Elephant Foundationは、「これで祝福されているなどと、(お祭りが)神聖なものであるなどと、なぜ言えるのでしょうか」と疑問を投げかけた。
ゾウに人間の言うことを聞かせるために虐待
人間に飼育されるゾウは、ほとんどが観光のため。ゾウの飼育数が多いタイでは観光客数が増加しており、そのうちの40%がゾウに乗ることを計画していたということが国際的な動物保護組織World Animal Protectionの調査で判明している。2016年には、タイでゾウに乗った観光客の数は約1,300万人となった。
しかし野生のゾウは決して人を背中に乗せたり、パフォーマンスをしたりはしない。そんなゾウたちを人間に従順にするために行なわれているのが、タイ語でパジャーン、英語ではエレファント・クラッシングというゾウの虐待。
※過激な映像が含まれます。
英語で「ゾウを壊す」という意味のこの調教では、子供のゾウを親から引き離し、脚に鎖をつけ、狭い小屋の中に押し込める。さらには、鋭いフックなどでゾウの身体を刺し、耳には孔が開くことも。
過去には、日本の動物園でこの調教法が行なわれているところが発覚したこともある。
この状況を受けて2016年には、世界最大の旅行口コミサイトのトリップアドバイザーが野生動物とふれあうことを目的としたアクティビティのチケットの販売中止を発表。動物に悪影響を与える人間の娯楽を問題視する声はどんどん増えている。
しかし、現在でも多くのゾウが劣悪な環境下で飼育され、虐待を受けていると報告されている。(フロントロウ編集部)