2019年で第71回を迎えるエミー賞
現地時間9月22日に開催されるドラマの祭典エミー賞授賞式。ノミネートリストが発表された時にも様々なサプライズが起きた2019年エミー賞から、期待のドラマを厳選5作品ご紹介します。
『ゲーム・オブ・スローンズ』
今年1番の注目作品といっても過言ではないのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』。
ドラゴンや架空の生物が存在するファンタジックな世界において、多くのキャラクターが登場する群像劇である本作は、ついに今年、その10年の歴史に幕を閉じた。最終章はファンから賛否両論が巻き起こり、別の監督で作り直してほしいと訴える署名に170万人以上から賛同が集まる一方で、高く評価するファンも多く、2019年のエミー賞ではなんと史上最多の32部門にノミネートされた。さらに、そのうちグェンドリン・クリスティーサー、アルフィー・アレン、そしてカリス・ファン・ハウテンは自己推薦でノミネートを勝ち取ったとして話題となった。
受賞数でも史上最多を記録するのかに、注目が集まる。
『POSE/ポーズ』
ドラマ『glee/グリー』のライアン・マーフィーが製作総指揮を務めた『POSE/ポーズ』は、80年代のニューヨークを舞台に、当時のLGBTQ+コミュニティのリアルを描く。作品賞にノミネートされただけでなく、主演のビリー・ポーターが、同性愛者の黒人男性としてエミー賞史上初めて主演男優賞にノミネートされた。また、30年以上にわたってアメリカのショービズ界で活躍するビリーだけれど、エミー賞にノミネートされたこと自体が初めて。ビリーの50歳の誕生日である9月21日の翌日に開催されるエミー賞で、ビリーがトロフィーを獲得する姿は見られるのだろうか。
『キリング・イヴ/Killing Eve』
『キリング・イヴ/Killing Eve』は、英国諜報機関で女性エージェントとして活躍するイヴと、謎の暗殺者ヴィラネルの攻防戦を描いたスタイリッシュサスペンス。主演のイヴは、韓国系カナダ人のサンドラ・オーが演じる。本作は、シンガーのテイラー・スウィフトや、トーク番組『エレンの部屋』の司会者エレン・デジェネレスもドはまり。とくにシリーズを通してサンドラの演技は高く評価されており、本作のシーズン1が審査対象となった2018年のエミー賞では、アジア系女優として初めてエミー賞にノミネート。昨年は惜しくも落選したけれど、今年こそついにアジア系女優がエミー賞初受賞なるかと期待されている。
『バリー(Barry)』
エミー賞のコメディ部門で話題をさらったのが、コメディ犯罪ドラマという異色のジャンルで大ヒットした『バリー』。元海兵隊で殺し屋のバリーは、ひょんなことから演劇クラスに迷い込んでしまい、クラスメイトたちと仲良しに。人生の楽しさを取り戻したバリーは裏社会から足を洗おうと決意したのに、仕事のミスで警察とギャングの両方から追われる羽目に。
主演男優賞にノミネートされているバリー 役のビル・ヘイダーと同じくらい注目を集めているのが、助演俳優たち。助演女優賞にはサラ・ゴールドバーグが、そして助演男優賞にはアンソニー・キャリガン、スティーヴン・ルート、ヘンリー・ウィンクラーの3人がノミネートされ、全6候補者のうち3名が『バリー』の出演者となった。
『ボクらを見る目』
Netflixドラマ『ボクらを見る目』は、1989年4月19日の夜、ニューヨークで実際に起きたセントラルパーク・ジョガー事件を基にしたもの。刑事たちに極悪な人種差別を向けられた5人の黒人少年が不当に逮捕され、その後長年彼らを苦しめる悪夢が幕を開ける…。
出演者のうち8人がノミネートされたほど高く評価された本作で、とくに目を引いたのはコリー・ワイズを演じたジャレル・ジェローム。主演男優賞にノミネートされたジャレルが肩を並べるのは、ベニチオ・デル・トロ、ヒュー・グラントやサム・ロックウェルなど大御所俳優ばかり。ジャレルが大先輩を押しのけて受賞を果たすのかに注目が集まる。
『キング・オブ・メディア(Succession)』
世界最大のメディア企業を経営するロイ一族の内部紛争をシニカルに描く『キング・オブ・メディア』。嫌な感じの金持ち一族が他人の足を引っ張り合う様子をユーモア交じりに描いたことで高い評価を受け、シーズン1にしてノミネートを果たした。
作品賞の他にノミネートされているのは、監督賞と脚本賞であり、いかにストーリーが緻密に練られた作品であるかが伺える。(フロントロウ編集部)