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ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の原作小説『侍女の物語』の著者マーガレット・アトウッドが、ドラマ版で「殺してはいけない」とプロデューサーに念を押したキャラクターは一体誰?(フロントロウ編集部)

※この記事にはシーズン2と3のネタバレが含まれます

原作者が「殺してはいけない」とした役は?

 出生率が大幅に減少したアメリカに誕生した新しい国ギレアド共和国を舞台に、権力者夫婦のために子供を産み落とす侍女にされた女性たちを主人公にしたHulu制作のドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。全体主義国家であるギレアド共和国では、国の法律に従わない者はすぐに処刑され、視聴者を「まさか」と言わせる展開が次々と起こる。

画像: 原作者が「殺してはいけない」とした役は?

 しかしそんな『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の中でも、あるキャラクターの命だけは安泰と見て良さそう。と言うのも、ドラマの原作小説『侍女の物語』の著者マーガレット・アトウッドがこのキャラクターだけは殺さないように、ドラマのプロデューサーであるブルース・ミラーにお願いしたから。

画像: マーガレット・アトウッド

マーガレット・アトウッド

 ドラマの行方についてどのくらいの発言権があるのかと米The New York Timesに聞かれたアトウッド氏はこうコメント。

「私には影響力はあるけど権力はありません。その2つには大きな違いがありますよね。わたしは(ドラマ版の)何においても承認を出せる人物ではない。ブルースとは連絡を取り合っていて、そのなかで、『この人は殺してはいけない』といったことを言うのです」

 そしてアトウッド氏は、過去にプロデューサーのブルースに“殺してはいけない人”として挙げたキャラクターは、侍女を訓練するリディアおばであることを明かした。

画像: 2017年度エミー賞で主人公ジューン役のエリザベス・モス(中央)とエミリー役のアレクシス・ブレデル(右)と揃ってエミー賞を受賞したリディアおば役のアン・ダウド(左)。

2017年度エミー賞で主人公ジューン役のエリザベス・モス(中央)とエミリー役のアレクシス・ブレデル(右)と揃ってエミー賞を受賞したリディアおば役のアン・ダウド(左)。

 侍女たちを大切に思いながらも、反抗した場合には情け容赦ない罰を与えるリディアおば。侍女たちを苦しめる“悪役”でありながら高い人気を誇るリディアおばは、シーズン2の最後で侍女のエミリーに刺されてしまう。しかしシーズン3では、結果的に命を取り留めたことがわかる。

 この展開から、プロデューサーのブルースが原作者アトウッド氏の意思を尊重したことがわかり、リディアおばを演じこの役でエミー賞ドラマ部門助演女優賞を受賞したアン・ダウドは、「(刺されるシーンの)脚本を読む前に、ブルース・ミラーからありがたいことに『心配しないで、君は生き延びるよ』というメッセージをもらいました」と、英情報番組『ディス・モーニング』でコメント。アトウッド氏がリディアおばの命を保証したことについては報道で読むまで知らなかったとし、「感激した」と喜んだ。

続編ではリディアおばが主人公の1人

 そもそもアトウッド氏には、リディアおばには生きていてもらわなくてはいけないある理由があったよう。

 と言うのも、アトウッド氏が2019年9月に出版した新作小説『The Testaments(ザ・テスタメンツ)』の主人公の1人がリディアおばだから。同作は1985年の小説『侍女の物語』の終わりから15年後の物語が描かれている続編で、リディアおば、ギレアド共和国に暮らす女性アグネス、カナダに暮らす女性デイジーという、3人の女性の視点から物語が展開する。

画像: 『The Testaments』の発表会でのアトウッド氏。

『The Testaments』の発表会でのアトウッド氏。

 アトウッド氏はシーズン1の全米放送がはじまった2017年4月頃から続編に関する発言をポロポロとしはじめていたので、本人は明言していないけれど、続編でのリディアおばの登場が頭にあった可能性は十分あり得る。

 『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン4の制作を決めているHuluは、『The Testaments』もスピンオフとしてのドラマ化を検討しており、侍女たちの物語はさらに拡大していくとみられている。(フロントロウ編集部)

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