『SUPERGIRL/スーパーガール』で知られるメリッサ・ブノワが、過去に眼球が破裂する寸前になるほどの家庭内暴力(DV)を、継続して受けていたことをインスタグラムで告白した。(フロントロウ編集部)

 この記事は、家庭内暴力(DV)の細かな描写を含みます。

メリッサ・ブノワがDV被害を告白

 ドラマ『SUPERGIRL/スーパーガール』で知られるメリッサ・ブノワといえば、その素敵な笑顔が印象的。共演者とも仲が良く、今年2019年9月には俳優のクリス・ウッドと結婚したメリッサは、その明るさとチャーミングさで人気を博しているけれど、過去に壮絶な経験を乗り越えていたことを告白した。

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 自身のインスタグラムに、約15分間にわたる動画を公開したメリッサ。そこで彼女は、こう話し始めた。

「私は、DV(家庭内暴力)被害の経験者です」

 メリッサは、加害者の素性については「私より若い人」とだけ明かし、その男性は、「可愛くて、面白くて、人を操るのがうまく、ずる賢い人」だったと話す。

 メリッサは自身を、「暴力的ではないけれど、壊れた家庭出身の子ども」と説明し、自分の人生では壊れた関係を築きたくないという思いがあったり、「嫌」ということで誰かをがっかりさせたくないという思いがあったりしたという。

 加害者は、付き合い始めた当初は暴力をふるうことはなかったけれど、メリッサの携帯電話などをチェックしたり、服装を変えさせたりしてきたそう。メリッサが他の男性と親しくするところを見たくないというような嫉妬を向けられることで、俳優として演技することを職業とするメリッサは、仕事も制限するようになっていったという。

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どんどん深刻化する家庭内暴力(DV)

「振り返ると、非常にクリアに、物事が暴力的になっていく危険信号が見える」

 現在では冷静に分析できる過去も、被害に遭っている渦中では判断が難しく、物事はどんどん悪いほうに転がっていった。そしてついに、メリッサと男が交際を始めて5ヵ月ほどが経った時、加害者による身体的な暴力が始まったという。初めて危害を加えられた時は、自分のことよりもソファが汚れていないかを心配したというメリッサ。別の部屋に逃げても男性によってドアが壊されるため、意味がなかったと明かす。

「家を気にするのを止めることを学び、自分自身の価値についても気にしないことを学んだ」

画像1: どんどん深刻化する家庭内暴力(DV)

 DVが繰り返されるなかで生じる被害者の考えの変化を説明したメリッサは、抑えつけられる、繰り返しひっぱたかれる、強く殴られる、髪を掴んで引っ張られる、頭突きをされる、皮膚を思いきりつねられる、ドアに押しつけられる、首をしめられる、といった暴力をされたと、勇気をもって明かす。

 死の危険さえ感じ取れる生活のなかで、メリッサは「まったく誇れない変化」を遂げたと告白する。それは、自分も暴力的になること。しかし精神的に限界を迎えていたメリッサは、1日のうちに2時間以上ベッドから出ない時期もあったと明かす。

「みんなの前でのメリッサは、ハッピーな顔で、健康的な人生を送ってる。でも家でのメリッサは、その外面を取って、永遠に終わらない闘いの中で、悪夢の中を生きていた」

画像2: どんどん深刻化する家庭内暴力(DV)

メリッサ・ブノワ、DVを脱するために

 そんななか、ある深刻な事件が起きてしまう。

 ある日、男にiPhoneを投げられたメリッサ。スマホはメリッサの顔面に直撃したそうで、眼球の色がついた部分である虹彩が裂け、眼球が破裂寸前の重症を負い、鼻も折れた。この深刻な怪我により、彼女の視覚は、一生元のようには戻らないという。

 当初、病院の医師や看護師、そして警察にもDVのことは明かさずに、嘘をついていたというメリッサ。しかしその直後に友人が、メリッサの当時の交際男性がいないときに、「DVの被害者なんじゃないの?」と、意を決してメリッサに聞いてくれたという。

「幸運なことに、(自分の人生に)人をもっと受け入れることで、状況はマシになっていった。『私はこんなことに値するような人間じゃない』っていう感覚を失わずにいられた」

画像: 仲が良いことで知られる『SUPERGIRL/スーパーガール』のキャストたち。

仲が良いことで知られる『SUPERGIRL/スーパーガール』のキャストたち。

 DV被害者に対してなぜ逃げないのかという声を向ける第3者もいるけれど、DV家庭では、被害者が精神的/身体的/経済的に加害者に支配されているため、被害者は洗脳されているといっても過言ではない。

 メリッサも、DVから脱するために努力していた時期を、こう振り返る。

「(DVや不健康な関係から)去ることは、公園に歩いていくようなものじゃない。それは“イベント”ではない。それは、プロセスなの。私は、自分が長い間守ってきた人の元を去り、その人を傷つけることへの罪悪感もあって、複雑な気持ちだった」

DVは最も通報されない犯罪

「この物語は、わいせつなニュースなどではありません。私の現実です」

画像: DVは最も通報されない犯罪

 メリッサがそう強調するように、家庭内暴力は犯罪。しかし、閉ざされた家庭という場で発生するため事件が発覚しづらく、そのセンシティブな事件内容から通報しない被害者の数は非常に多いと見られている。

 メリッサによると、DVは最も通報されない犯罪の1つであり、アメリカでは4人に1人の女性がDVを経験しているという。

 また日本では、内閣府の調査で、7人に1人が結婚相手からの暴力を経験していると明らかになっている。さらに、被害を受けた女性のうち約7人に1人が、その暴力によって「命の危険を感じたことがある」と回答。また、交際相手からのデートDVを経験したことのある人は、5人に1人に上る。しかし警察庁の発表によると、2018年に警察に相談されたDV被害は約7万8,000件となっており、過去最高とはいえ、DVを経験したことがある女性と、その通報数には大きな開きがあることが分かる。

「私は、この統計が変わってほしい。私が自分の経験を話すことで、同じようなことが起こるのを防げることを願っています」

 そう話すメリッサの勇気ある告白には、多くの称賛が集まっている。(フロントロウ編集部)

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