日本の伝統的な衣装がヒントに
ディズニーアニメーション映画『アナと雪の女王2』では、2013年に公開された前作の『アナと雪の女王』の3年後を舞台に、人として、女性として成長したダブルヒロインのエルサ&アナ姉妹の未知の世界への冒険が描かれる。
前作と同じく、続編でも、物語のおもなインスピレーションの源となったのは、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの3ヵ国。北欧の国々の伝統や文化は、劇中に広がる情景だけでなく、エルサやアナ、そして、そのほかのキャラクターたちが身に着ける衣装にも色濃く反映されている。
雪や氷を創り出す魔法の力を持つ、女王エルサの強さや荘厳さを表現したファッションのインスピレーションとなったのは、おもに、美しい流氷や雄大な滝などの雄大な自然で知られるアイスランドの文化。
一方で、可憐な女性らしさのなかにも、アクティブで芯の通った意思の強さを感じさせるアナのファッションの参考となったのは、精巧な刺繍で有名なノルウェーの「ブーナッド」と呼ばれる民族衣装だという。
しかし、同作の監督を務めたジェニファー・リー監督は、アナの衣装には、彼女が日本を訪れた際に目にした、ある伝統的なアイテムをモデルにした小物も取り入れられていると明かしている。
そのアイテムとは着物の帯。
アナが魔法の森へと冒険の旅に出る際の衣装のウェスト回りには、着物の帯から着想を得たという、ブラウンのベルトが装着されている。
11月22日の『アナと雪の女王2』の公開前日に行なわれた来日会見に参加したリー監督は、「アナは長旅を経験します。道中は、体はもちろん、心も守らなければなりません。強くて自分を守ってくれるものは何かと考えたとき、私たちは、日本の着物の帯について知りました」と、旅のお守り的な意味合いも兼ねて、着物の帯にインスパイアされたベルトをアナに身に着けさせることに決めたと明かしていた。
アナの衣装には、ほかにも、ディズニーアニメ『眠れる森の美女』のヒロイン、オーロラ姫の衣装や、フランス発の老舗ブランド、ディオール(Christian Dior)が1970年代に発表し、一大ブームを巻き起こした「ニュー・ルック」と呼ばれるコレクションを参考にデザインされたのだそう。
ちなみに、アナとエルサの衣装にズームインしてみると…。
まるで、ビーズやスパンコールが、ひとつひとつ手作業で縫い付けられたかのような精巧さ。布の素材感も本物さながらで、糸の1本1本まで丁寧に描き上げたアニメーターたちの職人技が光っている。
さまざまな文化や異なる時代のエッセンスを絶妙に融合させたエルサやアナの美しい衣装も『アナと雪の女王2』の重要な見どころの1つ。(フロントロウ編集部)