10年来のバトルはエミネムが優勢
2001年にエミネムが、歌姫マライア・キャリーとの交際を一方的に主張したことをきっかけに、マライアの当時の夫ニック・キャノンが自身のブログでエミネムへの憤りを表したことで始まったエミネムVSニック・キャノンのビーフ。
ビーフが激化した2009年以降、何の音沙汰もなかったことから自然消滅したと思われた争いは、先日、エミネムがフィーチャリング参加したファット・ジョーの新曲「ロード・アバウヴ(Lord Above)」の歌詞でぶり返され、ニックがこの挑発に全力で応戦したことで、2人の間の火花が再び激しく燃え上がった。
エミネムといえば、これまで多数の楽曲で著名人を激しくディスっているが、それは彼のスタイルであり、天才リリシストと呼ばれるエミネムには、よほどのことがない限り誰も牙を剥こうとは思わない。
しかし今回、エミネムとはラッパーとして雲泥の差があるニックがディス曲「ザ・インビテーション(TheInvitation)」をリリース。大物シュグ・ナイトらをフィーチャリングさせた楽曲にもかかわらず、YouTubeの評価は約5万件の高評価に対して、低評価はなんと約28万件。
エミネムをディスりまくった楽曲にある、「シュグが俺を次世代のパックと呼んだ(※)」という歌詞が多くの反感を買い、ニックの名前のスペルをわざと間違えた「#RIPNickCanon」というハッシュタグがトレンド入りするほど、大バッシングされている。
※シュグ・ナイトは、ヒップホップ業界で最も極悪なレーベルと呼ばれるデス・ロウ・レコードのCEOで、東海岸出身の2パックを“西側”に引き抜き、ヒップホップ東西抗戦を招いた人物。これにより、東のノートリアスB.I.G.と西の2パックという2大ラッパーが暗殺された。
めげないニックはまたディス曲をリリース
こうしたことを受けて、今度はラッパーの50セントが、「エム(※エミネムのニックネーム)とケンカする意味が分からない。あいつは次元が違う。彼を打ちのめした野郎をいまだかつて見たことがない。おいニック、あの歌はクソだった。お前に会ったらぶん殴ってやる」とエミネムを擁護。
50セントの投稿を見たニックは“ご丁寧”にも、自身のインスタグラムにわざわざ画像を載せて50セントのアカウントをタグづけして反応した。
さらにニックは、めげずに新たな楽曲「プレイ・フォー・ヒム(Pray For Him)」を発表。この曲で、エミネムがトランプ大統領に投票したことや、フェイスリフトの整形をしたことを主張し、さらには、先日急死したラッパーのジュース・ワールドの名前を引用し、代わりにエミネムが死ぬべきだったと激しく攻撃。これにも、高評価の約3万件に対して、低評価が倍以上の約9万件つくという、稀に見る低評価をマークした。
ニックがディス曲を連続リリースして悪あがきする一方、エミネムはニックに「謝れ」とツイートしてからは反撃する様子を見せていない。
I demand an apology Nicholas, you've made my gardener so jealous!
— Marshall Mathers (@Eminem) December 10, 2019
エミネムの仲間が宣戦布告
そんななか、エミネムと同じデトロイド出身で、エミネムが所属するヒップホップユニットD12のメンバーであるオービー・トライスが、突如として楽曲「“スパンキー・ヘイズ”ニック・キャノンのディス("Spanky Hayes" NickCannonDiss)」をリリース。
1分程度の楽曲で、エミネムに失礼な態度を取ったニックを痛烈批判。動画の最後には「ファック・ニックかかってこい」という文字が現れ、エミネムの代わりにオービーがニックに宣戦布告した。
仲間が次々とニック批判 をするなか、だんまりを決め込んでいるエミネム。 “ニックごときに王者 がでてくるほどじゃない”という、エミネム陣営 からの皮肉 も込められているのかもしれない。(フロントロウ編集部)