実在した殺人鬼の物語
ファティ・アキン監督最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は、敗戦がまだ尾を引いていた1970年代のドイツに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカの物語。
殺人鬼フリッツは1935年ドイツ・ライプツィヒで10人兄弟の3人目として生まれた。母は掃除婦で父は強制収容所に入れられていたこともある共産党員。父はアルコール依存症で、度々フリッツ・ホンカに暴力をふるった。母に育児放棄されたフリッツ・ホンカは 児童養護施設で育ち、1956年にハンブルクに移住し、 港湾労働者として働き始めるが、交通事故に遭い、鼻を砕き、後遺症が残った。2度の結婚と離婚をした後、1972年に娼婦を強姦しようとして通報されるが、この頃にはアルコール中毒は深刻なものとなっていた。1970年、当時夜間警備員だったフリッツは、42歳の娼婦を殺害。少し間が空いて1974年に54歳の娼婦と57歳の娼婦を、1975年に52歳の娼婦を殺害した。そのうち、3人の娼婦の失踪は警察に報告されることはなかった。
ファティ・アキン監督はドイツ・ハンブルク出身。子供の頃にいたずらをすると、「気をつけないと、ホンカがやってくるぞ!」とよく言われていたそう。それほど、フリッツ・ホンカは当時のドイツで人々に強烈な印象を残したシリアルキラーだった。
また、劇中でフリッツ・ホンカが、夜な夜な寂しい男と女が集るバー「ゴールデン・グローブ」にやってくる娼婦を次々と家に招き入れるが、このバーは実在する店で、実際にこの場所でフリッツ・ホンカが娼婦を物色していたと言われている。
フリッツ・ホンカ役がそっくり
さらに、映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の見どころは、フリッツ・ホンカ本人とヨナス・ダスラー扮するフリッツのシンクロ率。
曲がった鼻、特徴的な斜視、髪の生え際まで、生々しすぎるほどの再現率で本作への期待が高まる。
当時のドイツを恐怖で襲った、殺人鬼フリッツ・ホンカの物語『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は2019年2月14日より全国順次ロードショー。(フロントロウ編集部)