俳優のホアキン・フェニックスの「口元」を嘲笑する発言をした大物テレビ司会者に批判が殺到している。(フロントロウ編集部)

ホアキンの「口元の傷」を嘲笑

 映画『ジョーカー』での演技が絶賛され、第77回ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の最優秀主演男優賞を受賞した俳優のホアキン・フェニックスの容姿をからかった女性大物司会者の言動が大炎上している。

 歯衣着せぬ物言いや毒舌トークでアメリカ本国では知る人ぞ知るテレビ司会者のウェンディ・ウィリアムズは、自身がホストを務めるトーク番組『The Wendy Williams Show(ザ・ウェンディ・ウィリアムズ・ショー)』の中で、ホアキンの容姿に言及。

 最初はホアキンの鋭い眼差しや立派な鼻筋について語っていたウェンディだったが、続けて、彼の口元の傷にふれ、「彼はひげを剃り落とすと…(口元に)細い亀裂が入っているわよね。何て言うの、口唇裂?口蓋裂かしら」と、指で上唇の一部を持ち上げる動作をしながら茶化すような口ぶりでコメントした。


世間から大ブーイング

 「口唇口蓋裂」とは、生まれつき口唇、口蓋(くちの中の天井)、上顎(はぐき)に裂け目がある病態。多様な病型があるが、日本では500人に1人程度の頻度で生まれるとされている。

 ホアキンの顔には、鼻の下から唇にかけて口唇裂の手術跡とよく似た傷があることから、幼少期に手術を受けたのではないかと昔からウワサされてきたが、本人がそれを公に認めたことはなく、2019年の米Vanity Fairとのインタビューでは、手術で直した裂け目ではなく、持って生まれた傷だと明かしていた。

画像: 世間から大ブーイング

 アメリカでもたくさんの子供たちがこの病気に悩み、それを支える親たちも胸を痛めているだけに、ウェンディの口唇口蓋裂を嘲笑するかのような発言には、該当シーンの放送直後から視聴者からの批判が殺到。

 口唇口蓋裂を含む、見た目に影響をおよぼす先天性異常とともに生きる人々を支援するチャリティに熱心に協力しているシンガーのシェールは、ツイッターを通じて、自身が病気を抱える子供たちと交流した際の写真を公開し、「ウェンディ・ウィリアムズが嘲笑しているのは、こういう人たち。ホアキン・フェニックスは子供だったし、彼が実際にどんな経験をしたかは私たちにはわからない。彼はこの時代を代表する素晴らしい俳優だし、魅力的でハンサムだわ!ウェンディはこの件で一生非難され続けるでしょうね」とウェンディを厳しく非難した。

画像: シンガーのシェール。

シンガーのシェール。

 さらに、ウェンディのコメントの翌日に口唇口蓋裂の手術を受けたばかりの息子を持つカナダ人フットボール選手のアダムビッグヒルも「(彼女の発言は)明らかにいじめを助長する」とコメントし、怒りを露わにした。

手術に臨むボー君とビッグヒル選手。


ウェンディが謝罪

 自身の配慮に欠ける言動がたくさんの人々を傷つけ、怒りを買ったことを受けて、ウェンディがツイッターを通じて謝罪。

 ビッグヒル選手の息子ボー君の手術の成功を祈るとともに、「口唇口蓋裂コミュニティに謝罪します」と述べ、口唇口蓋裂の子供たちが手術を受けるのを支援するチャリティ団体や、この病気の研究・治療を行なう医療団体への寄付を行ない、彼女の番組内で視聴者たちに口唇口蓋裂への理解や支援を促していくことを約束した。

 謝罪後もウェンディの心ない言動は今もなお炎上し続けているが、ビッグヒル選手は、ウェンディへの批判が度を超えて“ネットいじめ”と化さないよう、彼女の謝罪を受け入れるとコメント。この件に関して、ホアキンはとくに反応していない。(フロントロウ編集部)

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