南極の気温が20℃を超える
南極半島のシーモア島で、2月9日に気温20.75℃が観測された。南極で20℃を超える気温が観測されたのは、これが初めてとなる。
3日前の2月6日には、南極半島先端のトリニティ半島に位置するホープ湾で、当時の最高記録となる18.3度を記録したばかりだった。
この観測は、国際連合の専門機関の1つである世界気象機関に認証される必要があるが、ブラジル政府による、気候変動が南極の永久凍土や生物に与える影響を観察するプロジェクトに携わる科学者のカルロス・シェーファー氏は、英The Guardianにこう語る。
「私たちがモニタリングしている地域で、多くの温暖化傾向は見てきましたが、(気温20℃を超えるという)このようなことは見たことがありません」「信じられないし、異常です」
シェーファー氏は、これは海流の変化とエルニーニョ現象(※)が原因にあると考えているという。
※太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象。
各地で異常事態が続いている
最近では、温暖化の影響でオーストラリアの森林火災が深刻化し、韓国の国土以上の広さが焼き尽くされた。
また、2019年の夏には、グリーンランドで110億トンの氷が1日で溶け、7月は地球上の平均気温が史上最高に。
温暖化や環境汚染を巡っては、政府規模での大きなアクションが求められており、環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏がリードし、日本を含めた世界中で定期的に催されているグローバル気候マーチでは、世界の温室効果ガス総排出量の65%(※)を占めるとも言われる化石燃料の使用を廃止して再生可能エネルギーに完全移行することが各国のリーダーに求められている。
※IPCC(気候変動に関する政府間パネル)発表。
ちなみに、世界平均気温上昇が、ある「臨界点」を超えると気候変動の悪影響がさらに急速に広がると言われており、IPCCによると、その臨界点は「+1℃~4℃のどこか」。臨界点を超えると、例えば、グリーンランドの氷の大部分が溶けるのを止められない。すべてが溶けきるのは、何世紀も先かもしれないけれど、次の数年で臨界点を超える可能性もある。(フロントロウ編集部)