ディズニー映画『リメンバー・ミー』で、主人公ミゲルのおばあさんエレナが、靴磨き中のお客さんをスリッパで攻撃したのには意味があった。(フロントロウ編集部)

メキシコが舞台の『リメンバー・ミー』

 『リメンバー・ミー』は、2017年に全米で公開されたディズニーのアニメ映画。第90回アカデミー賞では、長編アニメ映画賞と主題歌賞のダブル受賞を果たした。

 本作の舞台はメキシコ。一族代々、音楽を禁じられた家に生まれたミゲルは、ミュージシャンを夢見るギターの天才少年。ある日、ひょんなことから祖先たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまい、日の出までに元の世界に戻らないと体が消えてしまう事態に。

 そんなミゲルのもとに現れた陽気で孤独なガイコツ、ヘクター。ミゲルはヘクターと共に脱出を試みようとする。やがて2人は、ミゲルの大好きな伝説の歌「リメンバー・ミー」の秘密にたどり着く。

 『リメンバー・ミー』は、日本で47億円の興行収入を突破し公開から4週間連続で1位をキープ。

 そんな本作で注目したいのが、ミゲルのおばあさんが自分のスリッパで人を叩くシーン。

スリッパ攻撃はメキシコのおかあさんの伝統伎?

 ミゲルの家は代々靴屋の家系だけれど、12歳のミゲルはまだ靴磨きの仕事をしている。ある日、メキシコの音楽を演奏する楽団“マリアッチ”のメンバーの靴を磨いているときに、ミゲルは「家ではこんな話できない」と、音楽が好きなのに演奏できないという愚痴をこぼす。

 それを聞いたマリアッチの男は、ミゲルに歌ってみろとはっぱをかけギターを手渡す。「最初の観客になろう」と言われ、ミゲルが演奏しようとしたその瞬間に登場するのが、ミゲルのおばあさん、エレナ。

 ものすごい剣幕で登場したエレナは、躊躇せず履いてきたサンダルでマリアッチの男を一発殴る。その後も、鼻先にそのサンダルを押し付けたり、サンダルで椅子から突き落としたりと、やりたい放題。マリアッチの男も、なぜか反撃せずにおばあさんに怒られて退散。

 おばあちゃんのこの行為、じつはメキシコでは昔ながらのお仕置き方法として知られる風景。メキシコでは、サンダルで叩いたり、投げつけたりする行為自体に「チャンクラソ(Chanclazo)」という名前がついているほど。

 サンダルで叩くという演出には、メキシコのカルチャーを細部まで入れ込みたいという制作側の情熱があったのだ。『リメンバー・ミー』スタッフも、このメキシコの伝統伎「チャンクラ」を意識して取り込んだことを公式特典映像の中で明かしている。

画像: ※画像はイメージです

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 ちなみにメキシコで使われているスペイン語では、スリッパのことを「チャンクラ(Chancla)」といい、似たような言葉には「サンダリア」(サンダル)や「ウワラチェ」(草履)などがある。(フロントロウ編集部)

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