大御所を親に持つことのプレッシャー
アメリカで最も成功した黒人女性シンガーのひとりであるダイアナ・ロスを母親にもつ俳優のトレイシー・エリス・ロスが、新作映画『The High Note(原題)』で初めて歌声を披露する。
トレイシーのほかにダコタ・ジョンソンや、ラッパーのアイスキューブ、DJのディプロなどが出演する同作で、トレイシーは自身のキャリアで初めて歌声を披露することについて、その気持ちをオプラ・ウィンフリーのトークツアーに出演した際に話した。
トレイシーは、昔からキラキラなドレスを着てステージに立って歌うという夢を持っていたというが、母親はあのダイアナ・ロス。彼女の血を引いたトレイシーが歌うとなれば、その期待度も高く、そのプレッシャーから歌うことを恐れていたという。
しかし47歳になった今、トレイシーは新作映画でついにその歌声を披露するにあたり、自分の歌声を母親ダイアナに聴かせた時のエピソードをこう語った。
母親に自分の歌を聴かせた時は、「人生で最高に美しい瞬間だった」と振り返ったトレイシー。彼女いわく音楽を聴くのに最適なのは車の中だといい、自分の歌声を聴かせるためだけに、わざわざ母ダイアナを車に乗せ、「これが私です」と言って、ダイアナに映画の挿入歌を流して聞かせた。
トレイシーの歌声を聴いたダイアナは、トレイシーに向かって号泣しながら「やっと」と言葉を贈ったという。
「みんなそれぞれの恐怖を持っていると思う。何かに挑戦したいけどそんな才能はないとか、評価されるほどうまくないとか思ってしまうような。でも気がついたのは、私の歌声が母のように美しくなくてもいいってこと。私は母じゃないんだから。大切なのは私の声じゃなくて正直な気持ちなんだって。彼女の代わりなんて誰もいないの」
そう語ったトレイシーは、自分らしくいるためにも自分に自信を持つことの大切さをオーディエンスに訴えかけた。(フロントロウ編集部)