ニューサウスウェールズ州で火の手が消えた
2019年7月より広範囲で深刻な森林火災が続いていたオーストラリア東部のニューサウスウェールズ州で、240日以上ぶりに、すべての火の手が収まった。
For the first time since early July 2019, there is currently no active bush or grass fires in #NSW. That’s more than 240 days of fire activity for the state. #nswfires #nswrfs pic.twitter.com/NpjF3lAHKa
— NSW RFS (@NSWRFS) March 2, 2020
約8ヵ月にわたって続いていた山火事によって、オーストラリア全土では合わせて韓国の国土以上の広さが焼け、最低でも28名が死亡、10億以上の野生動物が犠牲になったと見られている。そのなかでも、とくに被害の大きかったニューサウスウェールズ州では、今季だけで3度の非常事態宣言が出されたほど。州都のシドニーでは、煙で街がおおわれる事態もたびたび起こっていた。
しかし2020年にはいり、記録的豪雨が何度か発生したことで、洪水などの水災害が起こりもしたけれど、火の手は弱まっていた。そしてこのたび、ニューサウスウェールズ州地方消防局がツイッターでこう発表した。
「2019年7月上旬以来初めて、ニューサウスウェールズで森林や草木の火災が今のところゼロになりました。240日以上にわたる火災でした」
さらに、ニューサウスウェールズ州地方消防局は続けて、これから8日間は雨が続くという気象予報も発表。「笑顔は、だんだんと大きなものとなっていくでしょう」とコメントしている。
環境問題の悪影響を受けているオーストラリア
今季のオーストラリアでは、異常事態が続いた。オーストラリアのある南半球で夏となる2019年12月には、豪南部のセドゥナで46.5℃を記録。森林火災も長期化し、それによって地面が乾燥し、雨が降っても吸い込まずに洪水や道路陥没につながった。
オーストラリアの状況について、気候科学者であるピーター・グリック氏は、英Timeにこう分析する。
「気候変動が、このような火災を引き起こしたのかどうかが疑問なのではありません。火災は自然が原因でも、人間が原因でも起こりますからね。私たちが着眼しているのは、オーストラリアの火災を前代未聞なほど悪くしている条件についてです。記録的な暑さ、未曾有の干ばつ、雨不足、これらはすべて燃料を乾燥させ、火災を悪化させています。火災はいずれにせよ起きていたかもしれません。しかしその深刻さや激しさは、気候変動がなかった場合より、比べものにならないほど悪くなっています」
(フロントロウ編集部)