ビリー・アイリッシュが自身の定番となっている「ルーズなシルエットの洋服」を脱いだ。めずらしく肌を露わにした彼女が放ったメッセージとは?(フロントロウ編集部)

ダボダボな服を1枚1枚脱ぎ捨てる

 18歳という若さでグラミー賞4部門制覇という偉業を成し遂げたシンガーのビリー・アイリッシュが、もはや自身のトレードマークとなっているダボッとしたシルエットの洋服を脱ぎ捨て、あるメッセージを訴えた。

 ビリーは、現地時間の3月9日、フロリダ州マイアミにあるアメリカン・エアラインズ・アリーナで「Where Do We Go? (ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?)」と題した新ワールドツアーをスタート。

画像: 「Where Do We Go? (ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?)」ワールドツアー公演初日の模様。

「Where Do We Go? (ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?)」ワールドツアー公演初日の模様。

 その公演中にステージ上の大画面に映し出された1本の動画に、観客たちは、一瞬言葉を失い、そして、すぐに黄色い大歓声を上げた。

 ビリー本人が淡々と語るモノローグが流れる映像の中で、ビリーは、着ていたスウェットパーカーを脱ぎ、ブラウスを脱ぎ、タンクトップを脱ぎ、そして黒いブラ1枚の姿に。そして、そのまま、ドス黒い水の中へとゆっくりと沈んでいく。


核心をつくメッセージ

 普段から「自分のすべてを知られたくない」という理由から、自分の実際のサイズよりも「800倍くらい大きいサイズの洋服を着ている」と自称するほど、あえて体のラインが分からない着こなしを好むことで知られるビリー。

画像: 核心をつくメッセージ

 そんな彼女が、これまでほとんど見せたことがない素肌を露わにしながら語ったのは、多感な時期に自分自身を悩ませた、現代社会に根強く残るボディ・シェイミング(体形批判)に異論を唱えるこんなパワフルなメッセージだった。

「ある人たちは私が着るものを嫌い、またある人たちは称賛する。私の服装を引き合いに出してほかの誰かを辱めようとする人たちもいれば、私を非難する人たちもいる。でも、私は、どんなときも、あなたたちの視線を感じている。私がすることはすべて監視されている。あなたたちが私を凝視したり、非難したり、安堵のため息をつくのを感じるけれど、もしも私がそういった評価にすがって生きたら、私はきっとまったく動くことができなくなるだろう。

あなたたちは、私に、もっと痩せて欲しい? か弱く脆弱であって欲しい? 背を高くするべき? もっと口を慎んでほしい?私の肩はあなたを挑発する? 胸は? お腹は? お尻は? 私が生まれ持ったこの身体は、あなたが望んでいたものとは違う? 」

「自分が心地いいと感じるものを着れば、私は女性だとみなされない。逆に、肌を露出すれば、“あばずれ”だと言われる。あなたたちは私の身体を見たことがなかった。それでも私の身体を評価し、それによって私という人間について決めつけようとした。なんで?

私たちはサイズを基準にして、誰かに関する憶測を立てる。その人が誰なのか、その人にはどんな価値があるのか。厚着をしたら、薄着をしたら、それが何だって言うの?それで私の何がわかる? どんな意味がある? あなたの認識でしか私の価値は決められないの? それともあなたの私にまつわる意見は私自身の責任ではない?」

 過去には、自身がダボッとした服装を好むことへの世間での誤った解釈に対して、「私は私が着たいと思ったものを着ているだけ。だけど、当たり前のように、みんなはこぞって『彼女は、性的な対象で見られることにNOを示してる』とか、『彼女は、従来の“女性像”を否定しようとしてる』って解釈する」と反論し、自分の格好と比較して、逆に露出の多い格好を好む女性たちを蔑むような発言が噴出したことへの違和感を唱えたこともあるビリー。

 肌を晒しながら伝えた今回のパワフルなスピーチでは、体形や何を好んで身につけるかということに基づいて、誰かの価値を推し量ろうとする風潮は、そろそろ疑問視されるべきなのではないかという、ハッとさせられるメッセージを発信した。(フロントロウ編集部)

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