後味が悪かったり、トラウマになりそうなほど辛かったりする映画を「胸糞映画」という。今回は、そんな胸糞が悪くなるような映画をあえてチョイス。地獄のように辛いストーリーに、「何でこんなものを作ったの⁉︎」という感情が湧き起こるような作品を厳選してご紹介。(フロントロウ編集部)

『ファニーゲーム』

 1997年公開の作品、『ファニーゲーム』。当時観客はショックで席を立ち、ビデオの発禁運動まで起こった本作は、何の罪もない家族の素晴らしい夏の休暇を血で染め上げる二人の男の話。ゲームをするように家族が恐怖に陥れられる姿は、「どうしてこんな話を思いつくの」と思うほど。監督は、胸糞映画好きの間では有名な巨匠ミヒャエル・ハネケ。監督は2008年に『ファニーゲーム U.S.A.』というタイトルで同作をハリウッドリメイク。同じく胸糞が悪くなる作品。

『隣の家の少女』

 1965年に起きた「米インディアナ州で起きた最も恐ろしい犯罪」を映画化した作品。両親を亡くした姉妹が大叔母の元へ引き取られるところから始まる本作。しかし、その大叔母は姉妹を酷くいじめる。こんなことが実際に起きていたことを考えると、めまいがしてくるほど残酷。


『マザー!』

 第74回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映されるや物議を醸した、ジェニファー・ローレンス主演の映画『マザー!』。郊外で穏やかに暮らしていた新婚夫婦のところに、なぜか毎日知らない人が来て図々しいことをするという内容だけれど、その「図々しいこと」の度が超えすぎている。なんと2018年1月19日に日本でも劇場公開の予定があったにもかかわらず、配給元の意向で突如キャンセルに。上映が中止されてしまった理由はまだ明かされていない。物語は「宗教映画」としての要素がふんだんに詰め込まれており、考察の得意な人の間ではとても人気が高い。


『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』

 コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、バリー・コーガンが出演、『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督が製作した『聖なる鹿殺し』。医者の主人公が、美しい妻と健康な二人の娘と幸せに暮らしているが、不可解な現象に巻き込まれ、どんどん健康を害していく。本作はカンヌ映画祭で脚本賞を受賞したほどの名作だけれど、主人公一家のうける仕打ちが不快すぎて、それどころの話ではない。劇中でバリーがスパゲッティをムシャムシャと食べるシーンは、気持ちが悪すぎてまさに胸糞映画。


『バイオレンス・レイク』

 美しい湖に遊びにやってきたカップル。楽しいバカンスにしようとしていたのに、地元の不良グループに絡まれ、史上最悪な休暇になってしまう。その地元少年の「悪ガキ」感と言ったら、それだけでもう不快になるレベル。注意しても響かず、それどころか主人公たちをどこまでも追い詰める。なぜこんなことに?と思うほどひどい上に、最後まで救いがない。ストーリー自体は面白いので、「胸糞」の入門編としてはおすすめかも。


『セルビアン・フィルム』

 「世の中、やっていいことと悪いことがある」そんな台詞はよく聞くけれど、この映画は「やっちゃダメ」なことしかしない。最低最悪のことしか起こらないため、思い出すだけでも息切れしそうな作品。どうしてこんなものを作ったのかと言いたくなるほどトラウマ。公開された時、「本作は20歳未満の方はご覧いただけません。本作品には、倫理的にも表現的にも最悪の描写が含まれております。20歳未満の方には、決してお見せ出来ません。また20歳以上の方であっても、心臓の弱い方や体調の優れない方のご鑑賞はお勧めできません。くれぐれもお客様、各自の責任においてご鑑賞下さい。」という張り紙があったのも納得な一作。エロ、グロ、バイオレンス、スプラッタ、なんでもOK!という猛者でもキツいかも。


『風が吹く時』

 ここで変わり種、アニメーション作品をご紹介。『風が吹く時』は、1986年にアニメ化されたイギリスの作品で、主題歌はデヴィッド・ボウイの「When The Wind Blows」。ほんわかした絵柄で「胸糞」からは遠そうな本作だけれど、「戦争」への怒りでどうにかなりそうになる傑作。イギリスの田舎で暮らす老夫婦が、年金生活でほそぼそと幸せに暮らしているけれど、国際情勢が悪化してなんと核爆弾が投下される事態に。なんとかシェルターに入ったものの、徐々に放射能に蝕まれ、励まし合いながらも衰弱していくという話。


『マーターズ』

 パスカル・ロジェ監督の『マーターズ』は、胸糞映画マスターにとっては王道の作品かもしれない。アメリカでもリメイクされているけれど、見るのなら絶対に2007年に公開されたオリジナル版。カルト宗教のもたらす理不尽な虐待がテーマだけれど、それどころではない。監禁された少女が脱走して数年後、復讐の為に武器を持ち、戻ってくるという話だけれど、結局救いはない。けれど、意外にも怖い中に「中毒性」のようなものがあって、ハマる人も多い。

 美しさを研究する「美学」で、「悪趣味」は「いい趣味」を知らないとわからない、とも言う。今回紹介した作品の制作者も、あえて悪趣味全開にして物語を作っているはず。そう信じて、いつもはあまり見ないような作品を鑑賞してみるのもおもしろい。(フロントロウ編集部)

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