多くの自然や野生動物が犠牲になった
南半球に位置するオーストラリアで、2019年9月頃から2020年3月初めまで広範囲で猛威をふるった森林火災によって、1億匹の野生生物が犠牲になったと見られている。その野生動物のなかには、オーストラリアに多く生息するコアラも多く含まれる。
その死亡数の予想にはバラつきがあるけれど、カンガルー・アイランド・ワイルドライフ公園の共同オーナーであるサム・ミッチェル氏は、その数は2万5,000匹に上るのではないかと、英The Guardianに話した。焼けて灰になってしまい、死亡数にカウントされていないコアラもいると見られている。また、火の手を逃れたコアラも、飢えや脱水症状、倒れた木々の下敷きになったり、日陰を作る木々がないことによって体温が上がったりすることが原因で死んでしまうことも。
森林が回復、コアラが家に帰れる
そんなコアラを含む多くの野生動物が、動物保護団体によって保護され、治療を施されてきた。非営利団体であるScience For Wildlifeも、長年動物たちを守っている団体のひとつ。彼らは2019年12月に、今回の火災で最も被害を受けた地域のひとつであるニュー サウスウェールズ州にある山脈、ブルーマウンテンで多くのコアラたちを保護。そして火災が落ち着き、コアラの住処や食料となる木々が十分に成長したことを受けて、ついに最初に保護したコアラのうち13匹を自然へ返した。
ブルーマウンテンの木の下で袋から出され、“家”に帰ってきたコアラたちは、勢いよく木を登り、あっという間に上のほうへ。
団体の理事であるケリー・リー博士は、「コアラたちは保護下でよくやってくれました。ついに彼らを家へ送り届けることができて光栄です」とコメントを発表。博士によると、コアラたちには無線でのトラッキングシステムがつけられたそうで、今後も彼らが無事に生活できているかを見守っていくとのこと。
(フロントロウ編集部)