ディズニー重役たちが下した「苦渋の決断」
映画製作とテーマパーク経営を主軸とした世界最大級のメディア・エンターテインメント系総合企業体である米ウォルト・ディズニー・カンパニーの前CEOで現在は取締役会長を務めるボブ・アイガーことロバート・A・アイガー氏が、新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまで、給与を受け取らないと決断したことが、米Hollywood Reporterが入手した現CEOボブ・チャペックから従業員たちに送られたEメールにより明らかになった。
さらに、チャペックCEOも50%の減給、そのほかの重役たちに関しても役職に応じて20~30%の減給となる。
チャペックCEOは従業員たちに宛てたメールの中で、「私たちが未知の領域を進んでいくうえで、みなさんにはたくさんの難題に挑んでもらっています。そんななか、みなさんは、これまで通り、困難にうまく対処してくれており、私たちはみなさんのサポートに感謝しています」と感謝。続けて、「この困難な時期に、あなたたちが見せてくれた献身さと回復力には、心から感銘を受けました。そして、私たちの会社が、これまでの歴史において何度も乗り越えて来たように、今回の危機をより確固たる強さで乗り越えることができるだろうと、改めて自信を授けられました」と綴った。
2019年にアイガー氏が会長兼CEOとして受け取った年俸の合計は4750万ドル(約51億円)。これは、ベースの給与に株式による利益やボーナスなどを合わせたものである。
そして、アイガー氏の後任であるチャペック現CEOが受け取るのは、ベースとなる年俸の250万ドル(約2.6億円)に各種ボーナスを加算した2250万ドル(約24億円)だと見込まれていた。
世間からはさまざまな意見が
アイガー取締役会長の給与全額返上、チャペックCEOをはじめとする重役たちの減給措置に関する発表は、ウォルト・ディズニー・カンパニー社が、アメリカ国内の感染者数の大幅な増加を受けて、当初、3月末までとしていた米国内のすべてのテーマパークの休園期間を無期限で延長すると発表した2日後に舞い込んだ報せ。
同社は、時給制で勤務する“キャスト”と呼ばれる従業員たちの全員分の給与について、4月18日の分まで全額支払い続けることを発表。しかし、その後も閉園が続いた場合には、どのような策が講じられるのかは明らかにされていない。
多くの従業員たちが収入を失う不安を抱えるなか、もっとも、アメリカ国内や世界中で多くの人々が“コロナパニック”により経済的危機に直面している今、ウォルト・ディズニー・カンパニーの重役たちの今回の決断には、「会社のトップの鑑」、「さすがディズニー」と称賛の声があがる一方で、「どうせ減額しても、億単位の収入を得ているんだろう」、「自社株で儲けが出るから、痛くも痒くもないのでは?」といった冷たい視線を向ける人々もいる。
ちなみに、アイガー氏は、プライベートでも、夫人とともにそれぞれ日本円にして約5000万円ずつをロサンゼルス市が設立した新型コロナウイルスと闘う医療スタッフたちを支援するための基金に寄付している。(フロントロウ編集部)