『ジョーカー』でのオマージュが気になる!
2019年に公開されて大ヒットした映画『ジョーカー』は、R15指定映画なうえ、人口の多い中国では未公開にもかかわらず、その興行収入が約1,100億円を突破。R指定映画では初の快挙だった。そんな2019年版『ジョーカー』は、これまでのDCコミックス映画で描かれてきた不気味な悪役ジョーカーではなく、現代社会を生きる1人の男性アーサー・フレックがジョーカーになっていく過程を描いたことで高く評価された。
そのため、トーマス・ウェインや幼いブルース・ウェインは登場したものの、バットマンは今作の世界には存在しない。しかしあるファンが、セットデザインにバットマンが隠されていると指摘して、インターネット上で議論になっている。
アーサーの前にある鏡をよく見ると…
問題のシーンは、作品初めのほうで、ピエロとして働くアーサーが事務所で支度をする時。アーサーが使用する鏡にご注目…。
鏡に写る部屋のライト2つや、鏡の周りにメモや看板のような物がくっつけられたことによって、鏡全体をよく見るとバットマンの顔に見える!? 少々強引に聞こえるこの指摘だけれど、それを知ってから見てみると、あら不思議、バットマンの顔に見えてくる。別のファンからは、鏡を逆さまに見たほうがよりバットマンの顔に見えるうえ、コウモリは逆さまになって木にぶら下がる生き物だから、逆さまから見るのが正解だという声も。
Last one for tonight guys, In the beginning of Joker (2019) there’s a familiar face in the mirror. from r/MovieDetails
一方で、バットマンの輪郭を描いたアウトラインが無ければ、バットマンの顔と思えなかったという声も多くあり、偶然を主張する意見も強い。とはいえ、公開から半年が経っても、いまだに話題となるほどの人気を誇る『ジョーカー』。これが意図的あろうと偶然であろうと、DCコミックスファンにとっては、いずれにせよ嬉しい発見となっている。
隠しネタを好まないトッド・フィリップス監督
トッド・フィリップス監督は、映画に隠しネタを仕込むのは好きではないと公言していることも、一部のファンがこの指摘を信じない理由の1つ。しかし監督は、幼いブルース・ウェインがアーサーと対面するシーンで、ブルースが遊具からポールをつたって降りたのは、テレビ版『バットマン』へのオマージュだったことを認めている。
また、『ジョーカー』でセットのグラフィックデザインを担当したのは、クリストファー・ノーラン監督によるバットマン3部作の最終章『ダークナイト ライジング』のデザインも担当したクラウジオ・ジュリアーノ。彼は、『ジョーカー』で使われる救急車の後ろがジョーカーの顔に見えるようにするなどして、遊び心をもってデザインをしていたため、フィリップス監督ではなく、クラウジオや、はたまた他のスタッフの誰かが、鏡を“バットマンっぽく”した可能性はなきにしもあらず。
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— Guillem Franco (@guillemfrank) January 24, 2020
ちなみに、2019年10月に米Vanity Fairのインタビューで、トッド・フィリップス監督は『ジョーカー』の各シーンについて細かく説明。アメリカのニューヨーク、マンハッタンにある建物で撮影されたこのシーンについて、ホアキン・フェニックス演じるアーサーの孤独や、心に秘める苦悩を表したと回想したけれど、鏡の件には特段触れることはなかった。(フロントロウ編集部)