「“シカゴ”シリーズ」の人気作『シカゴ・ファイア』
「“シカゴ”シリーズ」は、アメリカの北東部に位置するイリノイ州シカゴを舞台に、市民を守る男女を主人公にした3作品のドラマ。
消防士たちを描く『シカゴ・ファイア』、警察官たちにフォーカスした『シカゴ P.D.』、医師たちや医療現場に迫る『シカゴ・メッド』と、人命にかかわる仕事をする人たちの様子を描いている。
アメリカでは2012年に1作目の『シカゴ・ファイア』が放送スタートしてから次々と作品が広がり、3年で3作のフランチャイズへと拡大。『シカゴ・ファイア』の消防士がレスキューに現れたかと思ったら、現場の混乱を収めるために『シカゴP.D.』の警察官が現れ、被害者を運んだ先の病院で『シカゴ・メッド』の医師が治療にあたりと、それぞれのドラマに他のドラマのキャラクターたちが登場するクロスオーバーシーンがふんだんに使われていることが見どころのひとつ。
『シカゴ・ファイア』は、シカゴ消防局51分署に所属する消防士と救急隊員の人生を描いた作品。死と隣合わせの救出劇が見られるレスキュードラマであり、隊員たちの人間的な部分に心打たれるヒューマンドラマでもある。本作は、本物の消防士をも唸らせる迫力満点のリアリティがあることで知られている。
『シカゴ・ファイア』のテクニカルアドバイザーの熱意
『シカゴ・ファイア』のテクニカルアドバイザーを務めているのは、自身もシカゴ消防局で34年間消防士を務めたスティーブ・チケロティス。彼はドラマが始まる前、キャストをある場所に連れていったという。
それは、シカゴを守ってきた英雄たち569名の名前が刻まれた記念碑。そして、「この碑の人々は、あなたが代表している人そのものです。彼らは私のヒーローであり、彼らはあなたのヒーローだ」と語りかけたという。そのなかには、スティーブの親しい友人だった人々の名前もあった。
スティーブはあくまでも『シカゴ・ファイア』で消防隊員たちの日常をリアルに描き出すことにこだわっていた。なぜなら、2004年に放送されていたアメリカの消防ドラマ『レスキュー・ミー NYの英雄たち』の「別バージョン」だと見なされたくなかったから。
救急医療隊員が主人公のドラマ『トラウマ』が国際消防長協会や全米救急医療技術者協会などの専門団体から批判を受けていたのに反して、『レスキュー・ミー』は広く支持をされていた。とはいえ、同じことをしてしまっては二番煎じになってしまう。だからこそ、『シカゴ・ファイアー』では、消防士たちがヒーローとしてではなく、普通の人間として生活しながらも、常に死の危険と隣り合わせで働いているというリアルを追求したかったのだそう。
『シカゴ・ファイア』がリアルな理由
「目標は、消防用具、呼吸器、そしてあらゆる道具の使い方を自然に見えるようにすること」と意気込むスティーブの熱意を受け、『シカゴ・ファイア』の脚本を担当したマイケル・ブラントとデレク・ハースは、数週間にわたってシカゴの消防署に潜入。さらに、ストーリーにスティーブが消防士時代に経験した実際の出来事を取り入れ、リアリティの精度をどんどん磨いていった。これが、『シカゴ・ファイア』がリアルに見える理由。
さらに、ドラマに参加している消防士のエキストラは、じつは本物の消防士! メインキャストの影に立ちながらも、緊急事態のコールがなった時の行動は、実際に日常で行なっていることと同じだという。
ドラマ『シカゴ・ファイア』がリアルである理由は、本物の消防士たちの力を借りた徹底したリアリティの追求があるからだった。(フロントロウ編集部)