5月29日にニューアルバム『クロマティカ』をリリースしたレディー・ガガが、女性たちへメッセージを送った。(フロントロウ編集部)

レディー・ガガが女性たちへメッセージ

 約4年ぶりに6枚目のアルバム『クロマティカ』をリリースしたレディー・ガガは、これまでたくさんのメッセージが込められた楽曲をリリースしてきた。それはLGBTQ+コミュニティーだったり、性暴力の被害者だったり、人間の多様性だったり。もちろん今回のアルバム『クロマティカ』にもメッセージ性が強い楽曲は勢ぞろいしている。オフィシャル・インタビューでは、女性がアクティヴに表現することに対してデビュー時からそのムーヴメントの先頭を走ってきたガガが、昔に比べ現在は女性のアクティヴな表現をポジティブに受け入れるようになった世の中の変化について聞いた。

「私はこれまでずっと、人々のロールモデルになろうと努力してきた。私は、女性はこういう見た目であるべきとか、こういう行動や振る舞いをするべきといった固定観念に一度も従いたくなかったから。私は常に、どんな人間にとっても大事なことは、私たちの心と知性(頭)、そして私たちが世界に提供すべきことだと思っていた。世の中の変化について思うのは、この業界で今よりも若かった時、一緒に仕事した男性たちに物として見なされたことが沢山あった。セクシーな服を着ろとか、こういう髪型にしろとか、性的なことを言う人たちと同じ部屋で仕事するのはすごく大変だった。私は私を使ってお金を稼いでいる人たちに、絶えず性的な魅力を強要されていたの。女性として、不快だった。あの当時と今の違いは、当時は自分のために立ち上がることがトレンドではなくて、社会的に容認されていなかったことだと思う。でも今は、そういうことが起こったら、私は『あなたは私を物として見ている。仕事場で、私を性的に見ている。私は私がやりたい時に私がやりたい方法で、セクシーになる。私は自由な女性で、それが私の権利よ』って言うわ。そして私は、それは女性に限らず全ての性と、性自認に当てはまることだと思っている。何が変わったかと言うと、私が声を上げても、もう衝撃的ではなくなったこと。昔は私が『それはやりたくない』とか言うと、反対されたり、イラつかれたり、差別的な言葉で罵られたりした。私が強く出たことでね。自分たちのために立ち上がる女性たちを良い人間じゃないとか言うのは良くないと思う。自分自身のために立ち上がるって素晴らしい資質だから、何も悪くない」

 ここ数年でMeToo運動をはじめ、Times Up運動など女性たちが声をあげ続け、それにともないガガも性暴力や、体形問題などについて声をあげ、それをアーティストらしく音楽に落としこんできた。たとえば映画『ハンティング・グラウンド』のテーマ曲となった「ティル・イット・ハプンズ・トゥ・ユー」。この曲は、周囲の人たちからの励ましの言葉も届かないくらい、深い闇に陥ってしまったレイプ被害者たちの心の葛藤を表現した楽曲で、MVでは4人の女子生徒たちが、ある日突然、思いもよらなかった相手から性的暴行を受け、レイプ事件の被害者として苦悩する様子が生々しく描かれている。

 このように、音楽という形で問題を訴えかけ、いかなる時でも女性たちに寄り添い続けているガガ。そんなガガに自分を表現したくても人の目が気になり出来ない、という思いを抱えている女性たちに向けてのメッセージをオフィシャル・インタビューの中でこう語った。

「あなたの中にあるその恐怖心を敬って、自分自身に優しくすること、その部分を思いやることは大切。だから多分、ゆっくりと、自分が自由になれると感じることを、常に少しずつやっていけばいいと思う。色々と試してみて、どうすれば自分に力がついた感じがするかを知る。そうするうちに、気づいたら、あなたがなりたい自由な女性になっているんじゃないかな。私だって、世界がどう私を見ているかとか、人々がいつも私にレディー・ガガのルックスでいて欲しいと思っているとかを気にしていたのよ。でも、少しずつ勇気を持つことを続けていけば、いつかは自分がすごく勇敢であることに気づくわ。私は、女性はものすごく勇敢だと思っている。それに人は誰もが、すごく勇敢だと思う。私たちは、勇敢さで溢れた世界に生きているの。でも、お互いをもっと励まし合うことはできるし、自分自身を励ますこともできる。私はもっと自由になりたいって言うことは、勇敢なことの一つ。でも、より自由になるためには、この牢屋から出ることが必要。そして、牢屋に閉じ込められている気分になったら、あなたがその牢屋の鍵を手に持っているってことを覚えていて欲しい。そして柵の間が充分に空いているから、あなたはそこから手を伸ばして、外側から鍵を開けて、ドアを開けて、その牢屋から自分を解放できるのよ。私たちは全員、その能力を持っていると思う。その恐怖心を乗り越える必要があるかもしれないけれど、でも、恐れていても大丈夫だし、時間がかかってもいいの。私だって、長い時間がかかったんだから」

 恐れていても大丈夫だし、時間がかかってもいいと、女性たちを鼓舞し続けるガガらしい言葉。ニューアルバム『クロマティカ』には、「レイン・オン・ミー」や「フリー・ウーマン」といった女性たちをエンパワメントする楽曲が収録されているので、是非アルバムを聴いてもらいたい。(フロントロウ編集部)

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