幼少期に受けていたイジメを告白
リトル・ミックスのジェイド・サールウォールが英BBCのポッドキャスト『 No Country For Young Women』に出演。自身の肌の色のために葛藤を抱えてきた経験について赤裸々に明かした。
イエメン出身の祖父とエジプト出身の祖母の間に生まれた母親と、白人の父親を両親に持つイギリス生まれのジェイド。幼少期には、その褐色の肌のためにイジメに遭っていたのだといい、「私は自分の肌の色や、アラブ系であるために学校でイジメられていて、自分に誇りを持てなかった」と告白。
「(人種や多様性に対する)教育が十分じゃないというのが原因だと思う」と幼少期に受けていたイジメについて振り返ったジェイドは続けて、「私の地元では、肌が明らかな黒色じゃない人はひとくくりにされて、パキスタン人に対する差別用語で呼ばれていたの」と、肌の色が暗い子供たちはひとくくりにされて差別されていたと説明した上で、「肌の色のせいで学校でイジメられた時には、とても困惑して、私はパキスタン出身じゃないのにって思ってた」とジェイド。
イギリスがかつて現在のパキスタンなどの南アジア地域を植民地にしていたこともあり、同地域からイギリスに移住する人々は多い。一方で、2018年に英オックスフォード大学が発表した研究によれば、イギリスでは新たに移住してきた移民よりも、移民を親に持つ、イギリス国内で生まれた子供の世代の人々のほうが差別を感じやすい傾向にあるという。
幼少期に経験した具体的な経験について、「トイレで押さえつけられて、額にビンディーの印(※)をつけられた時のことを覚えてる」と振り返った上で、「すごく恐ろしかった」と打ち明けたジェイド。
※ヒンドゥー教の女性が額につける丸い印。
ジェイドを取り巻いていた環境は、「クラスに3人しかいない有色の生徒の1人だった。白人が多いカトリックの学校だった」というカトリック系の中学校に入ったことで、さらに難しいものになったのだという。
「中学校では最初の2年間で多くのことを経験した」と、中学校でさらにイジメを受けるようになったことを示唆したジェイドは、「いい学校として評判だったところで、母親は私にいい教育を受けさせたかったの」としつつも、「今になって考えると、もう少し私にも馴染みやすい学校に行っていたほうが良かったかもしれない」と思っていることを明かした。
「今思うと、クレイジー過ぎて笑えるものもある。昔、アマチュアのオペラ団体に所属していたんだけど、彼らはステージで白く見えるように私の顔に白いパウダーを塗っていたの」と当時受けた酷い仕打ちを明かした上で、「今でも母親とそのことを話すんだけど、『あれはすごくメンタルがやられたよね』って話してる」とジェイド。「私たちはその時、何が起きているか分かっていなかったの」と、当時は自分が受けていた仕打ちをきちんと理解できていなかったと語った。
リトル・ミックス加入後も葛藤
自身の肌の色やルーツに対する葛藤は、18歳の時にリトル・ミックスに加入した後も抱え続けたのだという。
「リトル・ミックスに入ってからは、有名になれないんじゃないかと思って、無意識のうちに、自分の血筋やバックグラウンドのことを話そうとしなかったの」と、自身のルーツを話すことで不人気になってしまうことを恐れていたと打ち明けたジェイド。
「ひどいことを言っているように聞こえるでしょうけど、当時はまだ18歳で、自分のことを恥ずかしいと思っていた時期だったから、私には打ち明けるのがすごく難しいことだったの」と当時の心境について説明した上で、「十分な教育を受けていなかったというのもあると思う。今でも何を言えば正しいのかを常に勉強しているし、自分の人種や血筋のことを話すのが嫌になって、正しいことを言えないこともある」と自分のルーツや人種のことを理解できるように勉強していると語った。
「私は常に心の中で葛藤しているの。自分が誰であるかや、自分がどこにいるべきかだったり、自分がどこのコミュニティに属しているのかが分からなくて」とジェイド。勉強を続けながらも、幼少期に受けた経験がきっかけで生まれた葛藤に今も悩まされていることを打ち明けた。(フロントロウ編集部)