イアン・ホルムズが死去
シリーズ累計の世界興行収入が29億ドル(約3114億円)を突破した、ピーター・ジャクソン監督によるファンタジー映画シリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』と、その前日譚を描いたスピンオフシリーズ『ホビット』でイライジャ・ウッド演じる主人公フロド・バギンズの養父であるビルボ・バギンズを演じたスコットランド出身の俳優のイアン・ホルムが亡くなったことが、イアンのエージェントが英The Guardianに出した声明により明らかになった。88歳だった。
エージェントが寄せたメッセージには、「本日朝、サー・イアン・ホルムCBE(※)が88歳にして亡くなったことを非常に悲しく思っております。彼は、病院にて家族と看護者に見守られながら穏やかに息を引き取りました」と、イアンが苦しむことなく安らかに永眠したこと、また彼が患っていた病がパーキンソン病に関連するものだったことも綴られていた。
※大英帝国勲章3位受勲者の意味
生前のイアンの人柄や俳優としての才能を称える「チャーミングで心優しく獰猛なほどに才能に満ち溢れた彼を私たちは大いに恋しく思うでしょう」との一文も添えられている。
医師の父と看護士の母という医療従事者の家庭に生まれたイアンは、7歳の時に観たミュージカル『レ・ミゼラブル』に魅せられて、演劇に興味を持つように。その後、王立演劇学校で学び、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに14年間所属した彼は、1967年には、ハロルド・ピンターの『帰郷』で演劇界最高峰のアワードの1つであるトニー賞を受賞。
1979年にはリドリー・スコット監督作『エイリアン』でアッシュ役を熱演し、その名を世界に轟かせたほか、1981年には『炎のランナー』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。受賞は逃したが、カンヌ国際映画祭と英国アカデミー賞で助演男優賞を受賞した。英演劇界に与えた偉大な功績が認められ、1989年に大英帝国勲章を、1998年にサーの称号を授与された。
その後、2001年公開のシリーズ第1作目『ロード・オブ・ザ・リング』で演じたビルボ・バギンズ役で子供から大人まで幅広いファンに愛される存在に。2003年公開の第2作目『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』でも同役を続投し、2012年に公開されたスピンオフ作品『ホビット 思いがけない冒険』、2014年公開の『ホビット 決戦のゆくえ』では晩年のビルボを演じた。
イアンが最後にレッドカーペットに登場したのは、2019年4月に行なわれた『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの原作となった小説『指輪物語』の著者J.R.R.トールキンの半生を描いた映画『トールキン 旅のはじまり』のロンドン・プレミアだった。
さらに、最近では、5月末に『ロード・オブ・ザ・リング』のキャストたちやジャクソン監督らが再集結したウェブ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使ったリモート同窓会に、手紙を寄せる形で参加していた。(フロントロウ編集部)