アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が、TikTok(ティックトック)をはじめとした中国製アプリの米国内での使用禁止を検討していることを明らかにした。(フロントロウ編集部)

米政府が中国製アプリの使用禁止を検討

 アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が現地時間7月6日、TikTok(ティックトック)を含む中国製アプリの米国内での使用禁止を検討していることを明らかにした。

画像: アメリカのマイク・ポンペオ国務長官

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官

 ポンペオ氏はこの日、米Foxのニュース番組『The Ingraham Angle』に出演。ホストを務めるローラ・イングラハムとのインタビューの中で、インド政府がTikTokを含む中国製アプリの使用を禁止したことに話題が及ぶと、アメリカ政府としてもそうした動きを「深刻に捉えている」ことを明らかにした。

 インド政府は現地時間6月29日、TikTokを含む59の中国製アプリを国内で禁止することを発表した。インドと中国は国境付近での軍の衝突をめぐって激しく対立しており、一連の禁止措置はそれを受けてのものとなっている。北京を拠点とする企業「バイトダンス」が運営しているTikTokは、インドが非常に大きな市場となっており、米調査会社のSensor Towerによれば、2017年にインドでローンチして以来、およそ6億6,600万ダウンロードを記録。今回の禁止措置で、60億ドル(約6,600億円)の損失を被ると見られている。

画像1: 米政府が中国製アプリの使用禁止を検討

 一方、アメリカも現在、国防や貿易などをめぐって中国と緊張が高まっている状況にある。そんな中で、ニュース番組『The Ingraham Angle』に出演したポンペオ米国務長官は司会のローラに対し、次のように明かした。

 「皆さんの携帯電話に入っている中国製のアプリに関して、アメリカ政府として是正していくことを保証します。大統領のもとへ話をもっていくことに懸念はありますが、我々としてはそのようなことを検討しています」とポンペオ米国務長官は述べ、政府としてTikTokなどの中国製アプリを制限することを検討していることを明らかにした。

 ポンペオ米国務長官としては、中国製のアプリを使うことで、国民の個人情報が中国共産党に抜き取られるのではないかと懸念しているようで、個人情報を抜かれたくなければダウンロードするべきではないとも述べている。

画像2: 米政府が中国製アプリの使用禁止を検討

 アメリカでは一部の議員がポンペオ米国務長官と同様、中国共産党に個人情報が抜き取られる可能性があるとしてTikTokを批判してきたのだけれど、TikTokを運営するバイトダンス社は以前、TikTokのデータを管理しているセンターは中国の外に拠点を置いているとし、中国の法律の規制は受けていないとしていた。

禁止されれば、ポップカルチャーに大きな影響が

 現時点でTikTokなどの中国製アプリに対し、アメリカ政府として具体的にどのような対策をとっていくのかは明らかになっていないものの、とりわけTikTokはティーンの間にすっかり浸透し、ブームが生まれる一つのプラットフォームとなっているだけに、本当に禁止という措置がとられることになれば、ポップカルチャーにも大きな影響を与えることになる。

画像: 禁止されれば、ポップカルチャーに大きな影響が

 とりわけ、外出が制限され、家にいることを余儀なくされた今年の新型コロナウイルス禍では、自宅でできるTikTokでのダンスチャレンジをきっかけに生まれたヒット曲が多数。ドレイクが今年4月にリリースした「トゥージー・スライド」は、TikTokでのダンスチャレンジで人気に火がつき、全米シングルチャートの首位を獲得。「#ToosieSlide」のハッシュタグがついた投稿が、たったの2日間でTikTokにおいて10億回再生を突破するなど、空前のブームを巻き起こした。

 他にも、今年の5月に全米シングルチャートの首位を獲得した、ニッキー・ミナージュが参加したドージャ・キャット「セイ・ソー」や、ビヨンセ参加のミーガン・ジー・スタリオン「サヴェージ」も同じく、TikTokでのチャレンジから人気に火が点いた楽曲。現在は、TikTokでのブームがヒットするための一つの道筋になっているところもあり、TikTokが禁止されれば、ブームやヒットの生まれ方に大きな変化が生じることになる。今後の動向を見守りたい。(フロントロウ編集部)

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