オスカー俳優のブラッド・ピット
ブラッド・ピットは現在56歳のアメリカ出身俳優。1987年に映画『追いつめられて』の端役でデビューして以降、様々な映画に出演。1994年に出演した映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』で一躍名をあげ、その後も映画『セブン』や『12モンキーズ』などで俳優としてのキャリアを積んだ。
1999年、デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ファイト・クラブ』に出演し爆発的な人気を得て以来、『オーシャンズ11』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『バベル』など、様々な作品で主演、助演を務めた。また、2000年代半ばごろからはプロデューサーとして制作の立場からも映画に関わり、『ディパーテッド』、『それでも夜は明ける』、『ムーンライト』などでアカデミー賞を受賞した。
さらに、2020年にレオナルド・ディカプリオと共演した映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で初のアカデミー賞助演男優賞を受賞。『12モンキーズ』でゴールデン・グローブ賞助演男優賞を受賞し、さまざまな映画賞にノミネートされ、60作品以上の出演経験を持つ彼にとって、初の快挙となった。
そんな彼が、これまでに出演した作品の中で最も覚えているセリフは、意外なチョイスだった。
ブラッド・ピット、自分が出た映画の中で一番覚えているセリフ
ブラッドは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクリフ・ブース役でオスカーを受賞したにもかかわらず、米PBSのインタビューでクリフを演じていた時によく頭に浮かんだセリフは何かと聞かれた際、「『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではなんだったか思い出そうとしてるけど、思い出せない。僕は頭の中から削除して、次の作品に向かうから」と笑いながら答えた。
そんなブラッドだけれど、2007年に公開された映画『ジェシー・ジェームズの暗殺』で言ったセリフはよく覚えているようで、そのセリフを“詩”だと表現してさえいる。米IndieWireによると「2007年の最も悪名高い大コケ映画」とも評された『ジェシー・ジェームズの暗殺』は、興行収入こそ悪かったものの、同年のべネツィア国際映画祭ではブラッドが男優賞を受賞。また、アカデミー賞では共演のケイシー・アフレックが助演男優賞に、ロジャー・ディーキンスが撮影賞にノミネートされた。
ブラッドは米GQで『ジェシー・ジェームズの暗殺』について「お気に入りの映画は、これまでに手がけた中で最もパフォーマンスが悪い作品」と自虐しながらも「自分でその価値を信じたものは、時がきたら価値が出てくるとわかっている」と、興行収入と作品そのものの価値は違うということをアピールした。
興行的に成功した作品を押しのけて一番覚えているという気になるそのセリフとは、「Look at my red hands and my mean face...and I wonder 'bout that man that's gone so wrong.(自分の血に染まった手と残虐な顔を見て、なんでこうなっちまったんだって思うんだ)」というもの。
これは、精神的に追い詰められ、孤独感に苛まれるジェシーが1人呟いた寂しい一節。これを思い出したブラッドは、「ただ、きれいだと思う。いつも(頭の中で)このセリフを聞いているよ」と語った。
映画『ジェシー・ジェームズの暗殺』は、19世紀のアメリカで名をとどろかせた犯罪者ジェシー・ジェームズと、彼を暗殺した手下、ロバート・フォードの人物像に迫る西部劇。ブラッドがジェシーを、ケイシーがロバートを務め、大草原の中で思惑が絡み合うスリリングな演技で魅了した。
ブラッドは今後、日本の小説家、伊坂幸太郎の『マリアビートル』を原作としたアクションスリラー映画『ブレット・トレイン』に出演予定。(フロントロウ編集部)