7月11日は世界人口デー。人口は増えたほうが良い?減ったほうが良い?(フロントロウ編集部)

世界人口デーってなに?

 1987年7月11日に世界の人口が50億人を突破したことから、1989年に国連人口基金(UNFPA)が定めた世界人口デー。その目的は、世界の人口問題への関心を深めてもらうこと。

 2020年現在、世界の人口は70億人を超えている。人口増加の問題や、人口減少の問題って?

画像: 世界人口デーってなに?

人口は減った方が良い?増えた方が良い?

 日本は少子高齢化社会で、人口が減っていることは長年問題になっている。人口が減ることで、国民が払う税金の総額は少なくなるため、社会福祉に影響が出る。そして、労働に就く人が減れば、消費も少なくなり、経済が縮小していく。とくに日本は、若者の人口が少なく年配者の人口が多いことから、若者にかかる負担が非常に大きなものになることが心配されている。

 こう聞くと、人口減少の問題を避けるために、人口は増加させたほうが良いと感じる人も少なくないかもしれないけれど、人口増加にも問題点は多い。人口が増加することで、消費する資源も増える。国連の発表によると、世界の人口は2055年までに100億人を突破すると見られており、元CIA捜査員で作家のグレン・カール氏によると、その人口ですべての人がアメリカ人程度の生活を送るためには、地球5個分の資源が必要になる。しかしもちろん地球は1個なため、このままではさらなる貧困や、資源を巡る争いが勃発する可能性がある。

 また、資源の消費は気候変動を引き起こしているうえ、国連の予想では、2050年までに世界人口の68%が都市で暮らすことになると見られているため、成長する都市をどう管理するかが、今後の地球環境や資源に大きな影響を与える。人口増加のためには、気候変動対策や環境保護などの取り組みを、社会全体でしっかりと行なっていく必要がある。

画像: 人口は減った方が良い?増えた方が良い?

女性の人権を尊重すること

 また、人口問題では避けては通れない問題が、女性の人権。自民党の柳澤伯夫氏が女性のことを「産む機械」と表現した発言は当時話題となった。

 しかしそうした女性の人権の軽視は、女性の、とくに弱い立場の少女たちの命を奪うことに繋がる。国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが2017年に発表した調査によると、15歳から19歳の少女の死因で最も多いものが妊娠による合併症となっており、1日3万人の少女が命を落としている。

 アントニオ・グテーレス国連事務総長は2019年の世界人口デーに、「必要不可欠な保健サービスを含め、女性の権利の擁護を押し返すような動きが全世界で見られています。妊娠に関する問題は今でも、15歳から19歳の女性の最大の死因となっています。不平等に根差したジェンダーに基づく暴力は、依然として恐ろしい数の犠牲者を生んでいます」と警鐘を鳴らした。

画像: 女性の人権を尊重すること

子供が産まれても育てられないかもしれない

 また、子供が誕生しても育てられなかったりすることも。人口を増やしたほうが良かったとしても、まずは女性の身体やその人生を考慮することは、人権の基本的な部分。

 ちなみに海外では、例えばニコール・キッドマンとキース・アーバン夫妻のように養子を受け入れる家庭も多く、他にも、リッキー・マーティンとジュワン・ヨセフのように同性カップルの両親も少なくない。また、アンジェリーナ・ジョリーやシャーリーズ・セロンのように、1人親で養子を迎えたケースもある。

 家族の多様性は、誕生した子供が生きられるようにすることに繋がる。

 人口は増えたほうが良いのか、減ったほうが良いのかには、多くの議論がある。さらにそこでは、女性の人権をしっかりと考慮しなけれならず、また、家族の在り方を考えることも良いトピックかもしれない。今日は世界人口デー。地球に暮らす人々について考えてみる良い機会。(フロントロウ編集部)

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