1989年『バットマン』に使われた“小道具”が、2019年の映画『ジョーカー』にも使われていた。(フロントロウ編集部)

オマージュが多い『ジョーカー』

 2019年に公開され、数々の映画賞を総なめにした映画『ジョーカー』は、DCコミックスのヴィランであるジョーカーを主役にした作品。しかしトッド・フィリップス監督は、「コミックは全く参考にしなかったんだ。それに関してみんなは怒るだろうね」と語っており、人間アーサー・フレック(ジョーカー)に焦点を当てた物語となっている。

 フィリップス監督は作品に隠しネタを仕込むのは好きではないと公言しているのだけれど、本作では多くの名作映画へのオマージュを取り入れており、劇中でマレー・フランクリンを演じたロバート・デ・ニーロの出演作である『キング・オブ・コメディ』や『タクシードライバー』の影響は強い。

バットマン作品へのオマージュは?

 しかし過去のバットマン作品へのオマージュはファンの間で意見が分かれることもあり、今なお最高のジョーカーとして評されることも多いヒース・レジャー版ジョーカーが登場した2008年の『ダークナイト』へのオマージュではないかとウワサされるシーンに関しては意見が分かれている。また、『ジョーカー』の作中で、幼いブルース・ウェインがアーサーと対面する時に遊具からポールをつたって降りたシーンに関しては、フィリップス監督がテレビ版『バットマン』へのオマージュだと明言している。

 しかしもうひとつ、過去のバットマン作品へのオマージュがある。その作品とは、1989年の映画『バットマン』。

画像: ⒸWARNER BROS/DC COMICS / Album/Newscom

ⒸWARNER BROS/DC COMICS / Album/Newscom

『バットマン』の小道具にご注目

 これまでのバットマン作品では、ジョーカーが登場しない作品もあるけれど、ティム・バートン監督が手掛けた1989年の『バットマン』では、かのオスカー俳優ジャック・ニコルソンがジョーカーを演じたことで、アメコミ映画の格を上げたと言われるに至った。そんな『バットマン』では、ジョーカーが手下とともに美術館で大暴れするシーンがあるのだけれど、その壁には、18世紀の肖像画家として有名なトマス・ゲインズバラによる1770年の作品『青衣の少年』が。

 そして、『ジョーカー』で映し出されたアーサーの部屋の壁を見てみると…?

画像: Ⓒgoogsmaster24/Reddit

Ⓒgoogsmaster24/Reddit

 そこにも、『青衣の少年』が飾られている! 『青衣の少年』は歴史的な作品であるため偶然の可能性もなきにしもあらずだけれど、ジャック版ジョーカーの作品で使われた絵画が、ホアキン版ジョーカーの映画のセットにも偶然使われるというのは、なかなか無理がある話。小道具でそっと仕込まれたと思われる歴代ジョーカー作品へのオマージュ。この先、ほかにも知られざるオマージュが発見されるかもしれない。(フロントロウ編集部)

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