社会の闇を描いた『ジョーカー』
2019年10月にホアキン・フェニックス主演で世界的ヒットを記録した映画『ジョーカー』は、これまでのDCコミックスを原作とした作品とは一味違い、現代に生きるひとりの人としてのアーサー・フィリップがジョーカーになっていく姿を描いた。
現代社会の闇にスポットを当てた本作のトッド・フィリップス監督は、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞での受賞はなかったけれど、第76回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
トッド・フィリップス監督がトランプ大統領を批判
そんなジョーカー旋風から数ヵ月後に発生した新型コロナウイルスのパンデミック。適切な対策を講じた台湾やニュージーランドなどの政治家たちに称賛が送られる一方で、日本やアメリカなどでは様々な問題が指摘された。
いまだ収まらぬ新型コロナウイルスの脅威に、ついにフィリップス監督も、アメリカのドナルド・トランプ大統領を批判。アーティストのライン・ルシアンによる作品をシェアした監督は、「この過去8週間を要約した感じだよね」というコメントを添えた。
作品では、ジョーカーのメイクをしたトランプ大統領とともに、アメリカ国旗の柄のウイルスが。ジョーカーといえばそのスタイリッシュさで人気を博しているけれど、彼はヒーローではなく悪役。カードゲームのトランプであればババである。
そんなジョーカーによって、アメリカがウイルスになっているかのような痛烈な批判を、『ジョーカー』のフィリップス監督がしたことには、ファンからも反応が。否定的なコメントも見られた一方で肯定的なコメントも多く、約7万のいいねが寄せられた。
珍発言を繰り返すトランプ大統領
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間2020年7月14日までで、アメリカ国内の新型コロナウイルスによる死者数は13万人を超えた。これは、世界で最も多い数となっている。
しかしトランプ大統領は、手軽な対策であるマスク着用を公の場ですることを長らく拒否してきたため、多くのトランプ政権支持者もマスクをしない状況となっていた。
また、その言動はさらに非科学的なことを繰り返しており、4月23日には消毒液を体内に注射することを試してみたいという旨の発言をし、本気でないにしろ、公式の記者会見で大統領がそういった発言をすることは、国民の間で危険な行為を引き起こしかねないとして専門家から批判の声があがった。
5月18日には、その効果が実証されていない抗マラリア薬を新型コロナウイルス感染の予防として服用していると話し、世界に衝撃が走った。その後5月下旬には、英医学誌ランセットが新型ウイルス患者9万6000人のデータを用いた研究結果を発表し、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン投与による死亡率は18%、抗マラリア薬クロロキンでは16.4%、これらを投与されていない場合は9%であることが明らかになった。
そして7月4日のアメリカ独立記念日にトランプ大統領が行なった演説では、新型コロナウイルスは99%無害だと発言。根拠のないこの発言にも、批判が寄せられた。(フロントロウ編集部)