米ディズニーのテーマパークであの「醍醐味」が禁止に
アメリカのフロリダ州オーランドに広大な敷地を構える、世界最大規模のディズニーリゾート、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(以下ディズニーワールド)は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、3月中旬から臨時休園を続けていたが、入園前の体温チェックやソーシャル・ディスタンシス(社会的距離)の確保、そして職員やゲストの全員がマスク着用を徹底するという取り決めのもとに、現地時間7月11日にマジック・キングダムとアニマル・キングダム、7月15日にエプコットとハリウッド・スタジオの営業を再開した。
しかし、いざ開園してみると、営業再開前から一番の課題として懸念されてきたマスク着用の徹底に関して、思わぬ“抜け道”があることが問題視。
それは、ゲストたちが園内に点在するフードブース(屋台)で購入したプレッツェルやポップコーン、アイスクリームのといった軽食を「食べ歩き」するのを口実に、マスクを外したりずらしたりした状態で園内を練り歩いてしまうということ。
ディズニーワールドでは、食事をする時以外はずっとマスクをして過ごさなければならず、マスクを外してひと息つけるのは、園内に設置された「リラクゼーション・ゾーン」と呼ばれるマスクフリーゾーンのみという決まりになっている。
しかし、軽食を片手に食べながら歩くことも“食事”の一種であると考え、マスクフリーになってしまう人々がいる事に危機感を抱いた運営側は、新たに、園内全面で「食べ歩きを禁止する」というルールを導入。
ゲストたちは、フードスタンドで購入した軽食を食べたり飲んだりする場合には、必ず、ほかの来園者たちの通行の妨げにならない場所で立ち止まった状態で、ソーシャル・ディスタンスの確保を遵守しながら楽しむよう要請される。
ディズニー運営のテーマパークといえば、園内での食べ歩きも来園時の醍醐味の1つだったが、withコロナ時代はそれも我慢。
ディズニーワールドでは、このほかにも、暗くて人目につきにくいアトラクションの中はマスク着用のルールを破ってもいいだろうと勝手な行動に出てしまうゲストたちに対して、罰としてスプラッシュ・マウンテンやスペース・マウンテンなどのクライマックスで撮影される「写真を提供しない」という厳しいお達しを出したばかり。
日本を含むアジア圏では、パンデミックが発生する前から、ウイルスへの感染・拡散予防としてマスクを着用する“マスク文化”が定着していたが、アメリカをはじめとする欧米諸国では、マスクは主に医療従事者がするもので、一般人にとっては、まだまだ馴染みのないアイテム。
ディズニーのテーマパーク内だけに限らず、息苦しさに耐えられない、暑くて着けていられない、写真を撮るときは外したいといった理由や心理的な煩わしさから、ついマスクを外してしまうというという人が後を絶たない。
ディズニーの名に懸けて、新型コロナの集団感染を出さないよう細心の注意を払っているディズニーワールドでは、極めつけともいえる「食べ歩き禁止」というルールは、ゲストやキャストたちの安全を守るうえでも妥当と言えるだろう。(フロントロウ編集部)