チームメンバーが全員女性のアフガニスタンのロボット部が、人口呼吸器を開発。政府に認証されれば、各地の病院で使用されることになる。(フロントロウ編集部)

人口呼吸器が不足しているアフガニスタン

 アフガニスタンで活動する女性ロボット部が、車の部品などを再利用した人口呼吸器を開発。その製作コストは約700ドル(約8万円)で、通常の人口呼吸器の製作コストである2,000ドル(約22万円)をかなり下回る。米Reutersによると、アフガニスタンには人口呼吸器が800台程度しかないため、彼女たちの人口呼吸器が今後正式に政府から認証されれば、多くの病院で使用されることになる。

 人口約3,800万人のアフガニスタンでは、これまでに3万5,000件以上の新型コロナウイルスの感染が確認されており、死者は1,100人を超えた。しかし米nprによると、5月時点でアフガニスタンの1日の検査数は1,000件程度と見られており、実際の感染者数や死者数とはかなり差異があると考えられている。

様々な壁に打ち勝った女性ロボット部

 全員が女性のロボット部は、アフガニスタンでソフトウェア開発企業のCEOを務め、アフガニスタンのIT企業で初の女性CEOのひとりであるロヤ・マハブーブ氏が3年前に創設。15歳から17歳の少女が対象で、2017年7月には2度も入国ビザを拒否されながら、アメリカで開かれた国際ロボットコンテストに出場し、「果敢な功績賞」を受賞した。

 7名の女性メンバー達は、マサチューセッツ工科大学が公開していたローコスト・ローテックなデザインの人工呼吸の設計図をベースに開発を続けた。新型コロナウイルスで素材が手に入りづらかったそうだけれど、アフガニスタンで普及しているトヨタ カローラのワイパーやギアボックス、モーターを再利用。また、バイクの部品なども使用したという。これにより、より安価で、複製しやすい人口呼吸器のプロトタイプが完成した。

 医療機器である人口呼吸器を正確で安全なものにするため、いくつかの特定のアイテムが必要になったけれど、地元地域では手に入らず、さらに女性が利用できる郵便サービスがない。そのような理由から、開発開始から1ヵ月半の時点では、開発に関係のない事柄に時間が取られることとなった。

 チームリーダーで18歳の高校生ソマヤは、7月に米Reutersにこう話す。

「医療の分野に足を踏み入れることができ、この地域の人々のためになることが出来て非常に喜ばしく思っています。チームのメンバー全員が、数ヵ月にわたるハードワークの末に、この結果を成し遂げることができて幸せに思っています」

 ロヤは米Bloombergの取材で、この人口呼吸器は高機能な人口呼吸器が不足している緊急時にだけ使用されるもので、その際には医師がいなければならないという注意も口にしている。(フロントロウ編集部)

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