マーベル作品でファルコンを演じるアンソニー・マッキーが、マーベルが抱える無自覚の問題点を指摘した。(フロントロウ編集部)

アンソニー・マッキー、マーベルの人種問題に苦言

 MCU映画で、ファルコン/サミュエル・ウィルソンを演じたアンソニー・マッキーは、黒人俳優として、ハリウッドで黒人コミュニティが排除されないよう活動してきた。そんな彼は、2020年7月上旬に登場した米Varietyのインタビューで、こんな思いを明かしていた。

「僕が何にウンザリしているかって、僕はこれまでにマーベル作品に7つも出演してきたけど、そのすべてにおいて、プロデューサーも、監督も、スタントマンも、衣装デザイナーも、音響スタッフも、全員が白人っていう環境だったということなんだ。

黒人のプロデューサーが起用されたこともあった、名前はネイト・ムーアというんだけどね。彼は『ブラックパンサー』をプロデュースした。『ブラックパンサー』を撮った時には、黒人の監督がいて、黒人のプロデューサーがいて、黒人の衣装デザイナーがいて、黒人のアクション監督がいた。僕からすれば、それって他のどんなことよりも人種差別的だと思うんだ。要するに、黒人の映画に黒人のスタッフだけを採用しているわけだけど、ほぼ白人だけで撮影する時には、黒人じゃ物足りないってことなのかよ?っていうね」

マーベルの問題点は無自覚さ?

 マーベルといえば、黒人コミュニティにスポットライトを当てた『ブラックパンサー』、フェミニズム映画として人気の高い『キャプテン・マーベル』など、白人男性がメインキャラクターに起用されやすい映画界において、多様な物語を制作してきた。とはいえ、まだまだその体制に改善すべきところはあると指摘したアンソニーが、今度は米Fatherlyのインタビューに応じ、前出の発言について、さらにその意図を語った。

画像: マーベルの問題点は無自覚さ?

「今起こっているのは、人種的な問題ではない。それは、無自覚からくる問題だと思ってる。マーベルに関しては、というか僕はほとんどの企業に対して思っているけれど、彼らはやるべきことをやっていると思っているよね。しかしそれは、どんなカタチであっても、まったく十分ではない。僕が言いたいのは、言うだけでなく行動してくれってこと。黒人をスーパーヒーローの1人に起用しておいて、こういった発言をされることを予想しないというのは無理がある。こういった会話をするのは、僕のDNAだしね。マーベルユニバースの一部になれたことは、僕にとって非常に大きなものだった。だから、マーベルユニバースが出来るだけ良いものとなるように行動するのは、僕の仕事の1つだ」

アンソニーが語るエンタメ業界の問題

 自分がMCUに参加できたからこそ、そこで感じた様々なカタチの問題について声をあげる必要があると、責任感をあらわにしたアンソニー。続けて、過去に何度も経験した、自分1人だけが黒人だったミーティングで、どのような行動を取ってきたかを明かす。

「それの良いところは、そういったミーティングに行って、『次のミーティングでは、私はここにいるたった1人の黒人にはなりたくありませんよ』って言えることだね。『オルタード・カーボン』をやったときには、オファーを受けた時に、少なくとも1人の女性監督と、1人の黒人監督がいることが僕にとって非常に重要ですと話したよ。この業界にいる大物が、彼らの家でパーティーを開いたとする。そのパーティーの98%は白人になる。もしくは、彼らのオフィスに行ったとしたら、98%は白人。それが、彼らの現実的な日常なんだ」

画像: アンソニーが語るエンタメ業界の問題

 エンターテイメント業界に身を置く多くの大物が、彼らが属するコミュニティに白人が多いため、作品制作の際には意識しなければ偏りが出ることを示唆したアンソニー。そのため、ドラマ『オルタード・カーボン』の際には、オファーをされた時点で女性や黒人への意識を呼びかけたという。

 ハリウッドでは、作品への出演契約を結ぶ際に、キャストとスタッフの人種・性別などの構成を少なくとも50%は多様なものにするよう要求するインクルージョン・ライダーという条項を追加する俳優が増えており、アンソニーからも同様の姿勢が垣間見える。

 そんなアンソニーは、マーベルとの関係が切れたわけではなく、マーベルドラマ『The Falcon and the Winter Soldier(原題)』に出演しており、同作は今後Disney+で配信される。マーベルから仕事を受けているからといってその姿勢に妥協はなく、むしろ仕事を受けているからこそ多様性や包括性に取り組んできたアンソニー。彼のドラマがどのようなものになっているのかにも期待が集まる。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.