エレン・ペイジがLGBTQ+の人々が置かれている状況に言及
ドラマ『アンブレラ・アカデミー』でNo.7ことヴァーニャを演じ、映画『JUNO/ジュノ』や『インセプション』への出演でも知られる俳優のエレン・ペイジが、LGBTQ+の人々に対する世間の見方を批判した。
エレンは同性愛者であることを公表しており、2018年1月に、2017年より交際していた女性ダンサーのエマ・ポートナーと結婚している。
今回、エレンは英Stylistのインタビューに応じて、LGBTQ+の人々が置かれている現状について言及。「『私はこの世界で自分らしくいられることを幸運に思う』って言うことにウンザリしているし、疲れた」と、ありのままの自分でいられることを“幸運”だと思わなければいけない風潮を批判した。
「そんなくだらないことは言う必要がないと思う。だけど、一般の枠組みの中では実際にそうなってしまっているし、それにもウンザリ」とエレンは強い言葉で語り、現状では“幸運”だと言わざるを得ない状況になってしまっていると苦言を呈した。
一方で、俳優としてクィアの登場人物を演じられることについては、「今、私がいるような場所にいられることは幸運に思っているし、クィアのキャラクターを演じられることは嬉しく思っている」と語った。
「私たちはみんな、何かしら無知なところがある」
エレンは英Stylistとのインタビューの中で、キャンセルカルチャーについても言及している。キャンセルカルチャーとは、著名人や企業によって“問題”だとされる発言や行動があったときに、その問題の原因究明や解決を議論するのではなく、SNSを中心に集団で批判してその人や団体を「抹殺(キャンセル)」しようとする風潮。最近では、SNSでの過去の問題発言を掘り返す動きが加速し、時代などの脈絡を無視してその発言や行動のみを問題視し、批判するような事例も見られる。
問題視される発言として、人種やセクシャリティに関する問題発言などがあるのだけれど、時に一方的にその人を責めることに終始し、反省や改善の余地を与えようとしないこともあり、時代背景を無視した批判が問題視されることも。
そんなキャンセル・カルチャーについて、「重要なのはこういうこと。私たちはみんな、何かしら無知なところがあるの」とエレン。すべての知識を持ち合わせている人など存在しないとした上で、「私たちは全員が学ばなければいけないわけで、私は大人になるにつれて、自分本位にならないように努力してきた。私たちは誰しも、学ばなければいけないことがあるんだから」と、誰しもに学ぶ余地があるということを前提に考える必要があると警鐘を鳴らした。
「もし、傷つけたり、被害を与えるような言動や行動をしてしまったとして、大きなプラットフォーム(※発言の場)を持っているような人であれば特にそうなんだけど、例え自分ではジョークのつもりでも、周りの人たちからその人たちがどう思ったかを伝えられることになる」と、キャンセルされる時の具体的な状況に言及した上で、誰しもに学ぶ余地はあるとしつつも、キャンセルされた側が「被害者」なわけではないとして次のように続けた。
「そのせいで、自分が被害者になったような気分にはならないでほしい。自分が巨大な特権を持っているような時には特にね」と語り、自分が社会的に持っている特権を自覚していてほしいと訴えた。
『アンブレラ・アカデミー』は2020年7月31日より、Netflixでシーズン2の配信がスタートしている。(フロントロウ編集部)