Netflixドキュメンタリー『オードリーとデイジー』で特集された性犯罪被害者のデイジー・コールマンが、23歳で自殺した。(フロントロウ編集部)

レイプ犯は性的暴行の罪に問われなかった

 14歳の時にレイプされ、その後、学校での性暴力を防ぐことを目的とした非営利団体SafeBaeの発足に関わったデイジー・コールマンが、23歳で自殺した。

画像: レイプ犯は性的暴行の罪に問われなかった

 ミズーリ州に住んでいたデイジーは14歳だった2012年1月に参加したホームパーティーで、19歳のマシュー・バーネットにアルコールを強要された後、レイプされた。さらにその様子を、パーティーにいた他の少年が携帯電話で撮影していた。デイジーは翌日、彼女の家の外に放置されているところを家族によって発見された。彼女の髪の毛は濡れていて、当時の気温は華氏22°F(マイナス5℃程度)だったという。

 しかし、高校のアメリカンフットボール部の選手であり、ミズーリ州の共和党元議員の孫であるマシューに対する重罪としての性的暴行の起訴は取り下げられ、その後、未成年者を危険にさらしたという軽罪で罪に問われた。マシューは、デイジーとの性行為は合意のもとだったと主張している。その結果、彼にはたった4ヵ月の実刑判決と、2年間の保護観察処分が言い渡された。

デイジーを待ち受けていた深刻なセカンドレイプ

 さらに彼女を苦しめたのは、学校やオンライン上でのセカンドレイプ。彼女の主張は嘘だといったものや、彼女にも責任はあったとするものなど、深刻な被害者非難が発生し、さらにはなんと、彼女の家が放火されて全焼した。彼女への嫌がらせによって、一家は引っ越ししている。

 彼女の経験した性暴力被害者へのセカンドレイプはアメリカが抱える大きな問題として議論され、Netflixドキュメンタリー『オードリーとデイジー』で特集された。この番組でデイジーとともに特集されたオードリー・ポットは、性的暴行の被害に遭った数日後の2012年9月に自殺している。

 そしてこの度、デイジーもこの世を去ってしまった。デイジーの自殺を受けて、母のメリンダはFacebookにこう綴っている。

「私の娘であるキャロライン・デイジー・コールマンが、今夜自殺しました。もしあなた達が、クレイジーなメッセージや投稿を見たのであれば、それは、彼女の様子を確認してほしいと私が警察に電話したからです。彼女は私の親友であり、素晴らしい娘でした。彼女は、私に1人でも生きていけると思わせようとしましたが、私には無理。彼女が抱えていた痛みを取り除いてあげたかった!あの少年達が彼女にしたことから、彼女は回復できなかった。こんなの不公平すぎる。私の可愛い女の子は去ってしまった」

性犯罪被害の傷跡は深い

 デイシーが性暴力の被害に遭ったのは8年前だけれど、被害者はその後の人生でずっと心の傷を負うことになる。アメリカで性暴力撲滅のために活動する非営利団体RAINNによると、レイプ被害者の女性のうち94%が、その後2週間でPTSDを経験。しかし、被害から9ヵ月ほどが経ってからPTSDを経験する女性も30%にのぼる。そして33%の女性が自殺を考え、13%が実際に自殺を試みるという。

 また、性暴力は被害者のその後の人生に大きなダメージを与える。性暴力の被害者は、そうでない人に比べて、マリファナを使う確率が3.4倍、コカインを使う確率が6倍、そしてその他の有名な薬物を使う確率は10倍になるという。

 性犯罪は、被害者が警察に届け出ないことが多く、システムの改善が求められている。そして届け出ても、デイジーのように被害者非難を受けることは多い。日本の内閣府による男女間における暴力に関する調査でも、被害を受けた女性の7割がどこにも相談していないことが明らかになっている。

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(フロントロウ編集部)

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