ケヴィン・ハートが新型コロナウイルス罹患を告白
ケヴィン・ハートは、『ジュマンジ/ネクスト・レベル』や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』といった話題の映画への出演でも知られる売れっ子コメディ俳優。
2019年には、アフリカ系アメリカ人である自身の知識やユーモアを生かし、知られざるアフリカ系アメリカ人の英雄たちにスポットライトを宛てるNetflixの冠番組『ケヴィン・ハートのアフリカ系アメリカ人の歴史』も配信され、面白くてためになると人気を博している。
もともとスタンダップ・コメディアン(※)としてキャリアの基盤を築いたケヴィンは、新型コロナウイルス世界的感染拡大により、3月中旬に多くの人々がステイホームを余儀なくされるなか、妻でモデルのエニコ・パリッシュや3人の子供たち(前妻との子が2人、エニコとの子が1人)と一緒に自宅で隔離生活を送りながら、インスタグラムでおもしろトーク動画を公開したり、ツイッターを通じてポジティブなメッセージを発信したりと、彼らしい方法で世間に明るい話題を提供してきた。
※観衆の目前で演じるコメディトーク(即興話芸)を得意とするコメディアンのこと。スタンドアップ・コメディアンと呼ばれる場合もある。
さらに、5月以降に活性化した黒人に対する人種差別に抗議するデモ「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がる)」の熱心なサポーターとして、啓発活動に精を出している。
3月以降も途切れることなく、SNSで日々の様子を報告してきたケヴィンだが、じつは、3月上旬に新型コロナウイルスの感染の疑いがあり、検査を受けたところ、陽性と判定を受けていたことを、約5カ月が経った今になり、さらりと公表した。
新型コロナ陽性を公表しなかった理由
米Paige Sixの報道によると、先輩コメディアンのデイヴ・シャペルがソーシャル・ディスタンス(社会的距離の確保)のルールを徹底したうえで主催しているコメディーショー『An Intimate Socially Distanced Affair』のオハイオ州での公演にゲスト出演したケヴィンは、当時、新型コロナウイルスへの感染を公表しなかった理由について、コメディアンらしく、こうネタにしたという。
「問題は、俺が(新型コロナウイルスに)感染したのは、トム・ハンクスが感染したのと同じくらいの時期だったことだ。何も言い出せなかったのは、彼のほうが俺より有名だから」
映画『フォレスト・ガンプ』などで知られる俳優のトム・ハンクスは、アメリカ各地でロックダウンが始まる直前の3月上旬、妻でミュージシャンのリタ・ウィルソンとともにオーストラリア滞在中に新型コロナウイルスに感染したことを公表。
数週間現地の病院に滞在し、治療に励みながら、自分たちが経験した症状について世間に報告し、警告を発したり、ウイルスの研究やワクチンの研究に役立ててほしいと感染経験者である自身の血漿を提供したことでも知られる。
トムとリタが先陣を切って感染を公表したことで、ほかのセレブたちも後に続き、正直に陽性判定を受けたことを報告したり、世の中にパンデミックの深刻さを知らしめることにもつながった。
ケヴィンは、そんなトム夫妻と同時期に新型コロナウイルスに感染していたというが、当時は、トムたちの感染のニュースが世間を席巻しており、自身が陽性判定を受けたことを公表したところで、あまり話題にならないだろうと考えて黙っていたということらしい。
もちろんケヴィンは、当時、一緒に隔離生活を送っている家族や、接触の可能性がある親しい人たちには、感染・回復の事実を伝えていただろう。現時点では、感染中の症状などについては言及していないが、もしかしたら、今回のジョークを言うためだけに3月に陽性判定を受けていたという事実を伏せていた可能性も考えられるが、果たして?
感染を大々的に公表するかしないかはもちろん個人の自由。しかし、いずれにせよ、まだまだ予断を許さない状況が続くアメリカで彼のジョークを素直に面白いと感じられる人は少ないと思うが…。
ちなみに、ケヴィンは、カリフォルニア州でロックダウンが始まってすぐの3月末に、妻のエニコが2人にとって第2子となるベビーを妊娠したことを公表。つい最近、ベビーシャワーを開催し、間近にせまる女児の誕生をお祝いしたばかり。
妊娠中のエニコにとっては、夫ケヴィンの新型コロナウイルス感染は、さぞかし不安だったことだろう。(フロントロウ編集部)