ルイ・ヴィトンが東京でショーを開催
フランスの老舗ブランドであるルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のメンズアーティスティック・ディレクター、ヴァージル・アブローによる新しいアプローチとして、7月のパリ・デジタル・ファッションウィーク期間中にアニメーションフィルム「The adventure of Zoooom with friends(ズームと仲間たちの冒険)」を公開。そのキャクターたちがパリから世界に航海するというストーリーに基づいて、8月6日には中国・上海で、そして9月2日に東京でショーを開催し、2都市でのショーを通じて新作2021年メンズ・コレクションを発表した。

東京のショー会場となった東京国際クルーズターミナルには、コンテナから飛び出した「ズームとその仲間たち」の巨大バルーンが横たわった遊び心溢れるランウェイが登場し、新作119体、日本人アーティストNIGOとのコラボレーション「ルイ·ヴィトン LV スクエアードコレクション」から6体の合計125ルックをお披露目。

ヴァージル本人は来日できなかったものの、8月に上海で発表されたルックに加え、アップサイクリングの概念を反映したルックの数々や、今回日本で初お披露目となった新作のルックなど、ヴァージルによる最新のコレクションが展開された。

マーク・ジェイコブス時代の懐かしいテディベアが登場
今回のコレクションでは、過去のアーカイブから用いられたものもあり、事前に告知していたものが。それは、当時のルイ・ヴィトンのデザイナーであるマーク・ジェイコブスが発表した、2005年春夏コレクションに登場したモノグラムがデザインされたテディベア。
当時はベージュのコートを着用したモデルがこのテディベアを持ち、ランウェイを歩いていたのだけれど、今回のコレクションではホワイトのスーツとルックは違うけれど、当時を再現するかのようにモデルがテディベアを片手に持ちショーに出演。

ヴァージルはテディベアに思い入れがあるようで、「マーク・ジェイコブスとキース・ウォーレン(※当時のマークの右腕)が2005年に発表したベアが帰ってきた。今日ショーをオープンしてブランドが持っている豊かな歴史の事実を思い出させるだけでなく、新しい物語が語られるための背景を築く」とキャプションをつけ、自身のインスタグラムにテディベアの写真をアップ。
すると、この投稿には当時のデザイナーであるマークが反応。マークは「アロイシウス。それがこのクマ。彼はブライドヘッド再訪の本でセバスチャン・フリテ卿が持っていた。コレクションはメンズウェアのデザイナーのキース・ウォーレンがデザインし、ショーはケイティ・グランドがスタイリングした。私はそこにいたんだ。知っているよ」とコメントし、さらに「このベアはルイ・ヴィトンのために素晴らしいシュタイフ(※テディベア専門店)によって作られたんだ」と当時のことを振り返った。
このコメントにヴァージルは「ドリームチーム」と返信すると、マークは「君の夢は今だよ。この調子で頑張って!」と、後輩デザイナーにメッセージを送った。
今回懐かしのテディベアを起用したことにより、新旧のルイ・ヴィトンのデザイナーの交流が実現。テディベアが日本で繋いだ縁だった。(フロントロウ編集部)