ヴェネチア国際映画祭が開幕!新型コロナ対策は?
2020年9月2日、世界三大映画祭の一つであるヴェネチア国際映画祭が幕を開けた。今年で77回目となる同映画祭は、新型コロナウイルスで甚大な被害を受けたイタリア現地での開催となる。招待者は約350名にのぼるが、感染拡大が確認された国からの渡航者は事前のウイルスチェックが徹底され、さらに、滞在が5日以上人なる人に対する追加でのチェックが行なわれる。
イタリアは現在新型コロナウイルスの影響でヨーロッパからの渡航者を制限している状態。そんななか、開催前日に、ヴェネチア国際映画祭の美術監督であるアルベルト・バルベラはイベントを開催することは自分たちの義務であると自らのツイッターで宣言。
新型コロナウイルスが拡大し始めた頃、イタリアはその中心地のひとつだった。しかし現在、日ごとの死亡者数はゼロ周辺で推移しており、新規感染者もヨーロッパ全体を見ても非常に少ない国の一つとなった。ヴェネチア国際映画祭では上記の検査に加え、会場入り口での検温、マスク着用の徹底、ソーシャル・ディスタンスを守った席の配置、消毒ジェルの設置、レッドカーペットにシールドを設置してファンの群衆が集らないようにするといった対策も取られている。
しかし、いつもは満員となるオープニングセレモニーや上映会の出席率はかなり低く、米Deadlineの報告によると、ある上映室への来場者は通常の10分の1程度だった模様。
新型コロナ対策をとりながら入場したセレブ
今回参加したセレブは例年よりも少なかったものの、ティルダ・スウィントンやケイト・ブランシェット、テイラー・ヒルなどがレッドカーペットに集合。特に注目されたのが、来場者たちが身につけた様々なマスク。
功労賞である栄誉金獅子賞受賞者であるティルダ・スウィントンは、オープニングセレモニーにシャネルの衣装で登場。手には仮面舞踏会風のゴールドのマスクを持ち、優雅にフォトコールに応じた。また、今年、コンペティション部門の審査委員長を務めるケイト・ブランシェットは、ごく普通のマスクを着用していたけれど、それでも輝きは失われていなかった。
ヴェネチア国際映画祭の開幕に先立ち行われたリド島の会見でケイトは幾つのかの深刻なテーマに触れた。新型コロナウイルスによるパンデミックに対しては、いくつかの国が「鈍感な対応」をしていたと批判し、国際映画祭でのジェンダーの中立性などについては、ベルリン映画祭が男優賞と女優賞を統合し「演技賞」にしたことを支持。また、ストリーミングによる映画公開についても慎重な考えを示した。
さらにケイトは「私はいつも自分を『俳優』と呼んできました。ジェンダーが特定されてしまうような言葉などないと思いますし、それに、私は『女優』という言葉が常に軽蔑的な意味で使われていた世代の人間です。良い演技は、相手の性的指向に関係なく良い演技」と述べた。
ヴェネチア国際映画祭の注目作品は?
今年のヴェネチア国際映画祭は、大型スタジオからの出品は少なく、インディーズ作品が多数出品。特に注目されているのは、映画『ビール・ストリートの恋人たち』でゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞したレジーナ・キングが初映画監督となった『ワン・ナイト・イン・マイアミ(One Night in Miami)』。本作は、4人のブラックアメリカンのアイコンである、モハメド・アリ、マルコムX、サム・クック、ジム・ブラウンが出会い、話し合いをするという不思議な物語。
また、日本からは映画『回路』や『トウキョウソナタ』などの黒沢清監督による『スパイの妻』も、金獅子賞を競うコンペティション部門に出品されている。2019年に金獅子賞に輝いたのは、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』だった。
第77回ヴェネチア国際映画祭は2020年9月12日まで開かれる予定。(フロントロウ編集部)
※ケイト・ブランシェットの発言訳を修正しました。