父親がアヴィーチーについて語る
現地時間2018年4月20日に訪問先のオマーンの首都マスカットで自ら命を絶ち、28歳という若さでこの世を去った人気DJのアヴィーチー。生きていれば31歳の誕生日を迎えるはずだった9月8日には、生前親交があったDJのカイゴやニッキー・ロメロなどがインスタグラムで誕生日をお祝いしていた。
そんな記念すべき日にアヴィーチーの父親であるクラス・バークリングが、アメリカの人気衛星ラジオ局SiriusXMのダンスミュージック専門のチャンネルBPM の特別番組『Avicii Birthday Tribute for Mental Health Awareness』に出演。この特別番組は、アヴィーチーの誕生日であり、アメリカでは自殺予防週間のスタート日である9月8日から13日まで、父親クラスをはじめ、アロー・ブラック、マーティン・ギャリックス、リタ・オラ、ニッキー、デヴィッド・ゲッタなど、アヴィーチーが生前親しかったゲストを招き、アヴィーチーとの思い出や、彼の音楽、さらにメンタルヘルスについて語られた。
マーティン・ギャリックスとアヴィーチ。
その番組では、アヴィーチーの幼い頃の話や仕事など様々なことを語った父親のクラス。そしてクラスは、働きすぎる多忙なアヴィーチーを側で見て「音楽業界はご存知の通りティム(※アヴィーチーの本名)のように成功を経験すると(時間など)奪い取ってしまう。彼はいつも旅をしたり音楽を作ったりしていることに時間を費やし、その中で浮き沈みがあっても彼は幸せだったと思う。彼は幸せでプロデュースし続け、創造的だった。でもストックホルムにいる親としては、もちろん息子に帰ってきて休んで欲しかった」と生き急ぐのではなく休んで欲しかったという胸の内を明かした。
実際にクラスは彼のマネージメントと共に、アヴィーチーに休むようにと注意をしたことがあるようで「心の病気はときどきうつ病と関連している。その様子が見えるし、感じられる。この人はきっと助けが必要だと言うことができる。ティムはそんなサインを見せなかった。私たちは彼のマネージメントと一緒に2度彼のことを止めた。けど、それは遅かった。もちろん家族は何度も彼をとても心配していた」と、家族やマネージメントと一緒にアクションを起こしていたことを語った。
続けて「なんで何もしなかったのかと思われるかもしれないけれど、私たちは多くのことを行なった。それは確かだよ。ティムはもう大人だ。それもまた重要なことで、彼は自分で決断した。私たちとしては彼を閉じ込めることはできない。そうやって扱うことではないから。また、彼は常に制作していたので、とても奇妙な状況だった。今になって別の視点から振り返ってみると、止めてあげるべきだったと言うのは簡単かもしれないけれど、私たちは彼のことを止めていたんだ」と、成人した息子に深く介入することの難しさも話した。
アヴィーチーの家族は彼の死後、メンタルヘルスに焦点を当てた財団で、精神疾患と闘う人たちをサポートして自殺防止のための活動をする、ティム・バークリング基金を設立。生前アルコール依存症やメンタルヘルスの問題と闘ってきたアヴィーチーだったけれど、彼の音楽は今もなおファンに愛され、そのレガシーは家族に受け継がれている。(フロントロウ編集部)