『フォレスト・ガンプ』のあの名シーンは、トム・ハンクスとロバート・ゼメキス監督が自費で撮影していた。(フロントロウ編集部)

フォレストの走る姿が印象的な『フォレスト・ガンプ』

 アメリカで1994年に公開された映画『フォレスト・ガンプ』は、第67回アカデミー賞で最多ノミネート・最多受賞を記録し、今もなお世代を超えて愛される名作。主演のトム・ハンクスと監督のロバート・ゼメキスも、同年のアカデミー賞を受賞している。

 純粋な心を持つ主人公のフォレストの半生を描いた本作では、心を打たれるシーンは数あれど、やはり代名詞的なものとして思い浮かべられるのは、フォレストが走る姿。幼少期のフォレストが脚に器具をつけずに走り出すシーン、アメフトの試合で走るシーン、ベトナム戦争で走るシーンなど、数々の印象的なシーンがある。

画像: ⓒPARAMOUNT PICTURES / Album/Newscom

ⓒPARAMOUNT PICTURES / Album/Newscom

 しかしそのなかでも特に、フォレストが走ることだけにフォーカスしたシーンといえば、彼が走ってアメリカ横断をしたシーン。理由はなくただ走り続けたフォレストの姿を描き、「とても疲れた。帰ろうと思う」という名セリフも生み出したこのシーンだけれど、じつは、なんとトムとゼメキス監督が自費で撮影したという!

トムとゼメキス監督の決断

 トムが、ポッドキャスト『In Depth with Graham Bensinger(原題)』で明かしたところによると、配給会社のパラマウント映画は、このシーンの撮影にはお金がかかりすぎるとして、金銭的支援が得られなかったそう。そこでトムとゼメキス監督は、こんな会話を…。

画像: 撮影中の『フォレスト・ガンプ』。

撮影中の『フォレスト・ガンプ』。

「彼(監督)は、『うん。この走るシーンはこれだけのお金がかかる』って言ってね。安くはなかった。僕は『分かった』と言った。そして彼は、『君と私でこの金額を半分にして、それを(パラマウント映画に)渡そう』と言ったよ」

 そしてその条件として、トムとゼメキス監督は映画の利益を多めに得ることを提示し、パラマウント映画側は快諾。この条件は、2人にとって良いものだったであろう。なぜなら、『フォレスト・ガンプ』はこの年の映画興行成績ランキングでディズニーの『ライオン・キング』に次ぐ2位を記録し、米Hollywood Reporterによると、トムは本作によって72億円(6,500万ドル)程度を手にしたという。

 しかし当時、ゼメキス監督はすでに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作で成功を収めた後で、トムもすでに有名俳優。なのに予算はそんなに少なかったの?と思ってしまうファンもいるかもしれないけれど、『フォレスト・ガンプ』の予算は、約60億円(5,500万ドル)程度だったと言われており、この金額がトム達の支払いを含んでいたとしても、元々の予算も少なくなかったであろうことが分かる。様々な土地へ必要機材を持って、スタッフや俳優全員で移動して撮影することは大変なもの。逆にいえば、予算が足りなかったとはいえ、監督と俳優がすでに有名で資産があったことが、幸いしたよう。

 ちなみに、トムとゼメキス監督は、もう1つのシーンの撮影でも一部予算を負担したという。(フロントロウ編集部)

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