子役が活躍した映画『E.T.』で、監督のスティーブン・スピルバーグは子供達のために、あることを実践していた。(フロントロウ編集部)

E.T.と子供達の交流を描いた名作

 1982年に公開され、爆発的なヒットを記録した映画『E.T.』。1993年まで、映画歴代興行収入1位を保持していたほどで、幼い子供から楽しめる作品でありながら、大人でも泣ける高い質を誇る。初公開から38年が経ち、VFXなどの技術がかなり発展した2020年となった今見てもE.T.の可愛さは健在。そしてそんな作品を盛り上げたのは、やっぱり子役達。

 主役であるエリオット役のへンリー・トーマスはもちろんのこと、今では超トップ俳優となったドリュー・バリモアは、エリオットの妹ガーティ役がきっかけとなり、その名を世界中に知らしめた。自転車に乗って大人達から逃げるエリオットとその仲間、そしてE.T.の姿は、映画史に残る名シーンとなっている。

画像: ⓒUNIVERSAL PICTURES / McBROOM, BRUCE / Album/Newscom

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 人間の言葉や生活を覚えていったE.T.と、E.T.と絆を育んだ子供達。そんな映画史に残る作品を作り出した巨匠スティーブン・スピルバーグ監督は本作の撮影過程で、子役達に配慮したある工夫を実践していた。

スティーブン・スピルバーグ監督の工夫

 映画やドラマの撮影といえば、スケジュールや予算の関係で同じ場所で撮影できるシーンは一気に撮ったり、同じ俳優達のシーンを先に撮ったりと、作品の中での順序通りに撮影が行なわれることは少ない。

 しかしE.T.との遭遇から交流、死の危機を乗り越えた喜びと、別れの辛さといったストーリーには、子供達のリアルな感情からの演技が重要だと考えたスピルバーグ監督は、撮影を映画の流れ通りに行なった。これによって、子役達が混乱することもなく、さらに感情移入でき、最後にはあのラストシーンが撮影された。

画像: ⓒUNIVERSAL PICTURES / ILM / Album/Newscom

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 その効果は、多くのファンが知るとおり。E.T.との交流を描いたファンタジーでありながら、誰もが通ってきた自身の幼少期を思い出せる本作の魅力には、子役達の演技と、それを引き出した監督の采配があった。

 ちなみに去年2019年の冬には、米企業Xfinityが37年越しの続編動画を公開。エリオット役はヘンリーのままで、彼がE.T.と再会するというストーリー。年を重ねたエリオットには妻と2人の子供がおり、E.T.は一家とともに家族のような時間を過ごす。しかしやはり…。オリジナル版へのオマージュも多く、約4分の映像だけれど、大号泣してしまう大人が続出した。

(フロントロウ編集部)

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