共和党支持の家庭に育った俳優のジェニファー・ローレンスが、民主党を支持することを表明した。(フロントロウ編集部)

共和党支持だったジェニファー・ローレンスが決断

 映画『ハンガー・ゲーム』シリーズや『アメリカン・ハッスル』などへの出演で知られ、2012年の映画『世界にひとつのプレイブック』での演技で第85回アカデミー主演女優賞を受賞したオスカー俳優のジェニファー・ローレンスは、先日出演した米ポッドキャスト『Absolutely Not(原題)』で、彼女の家庭は保守派の共和党支持だったと話して話題になった。

 それを受けてジェニファーが、自身の現在の姿勢を明確にし、アメリカ大統領選挙では民主党のジョー・バイデン氏とカマラ・ハリス氏の2人に投票したと公表した。

 「ニュースで話題になった私の投票記録を明らかにしたいと思います。私は共和党支持の家庭に育ち、2008年には(民主党のバラク・オバマ氏に対抗した共和党の)ジョン・マケインに投票しました。でもオバマ大統領の期間を通して、私は成長し、私は自分自身の様々な権利に反対する投票をしていたことに気がつきました。私は自分が民主党支持者であることを、誇りを持って言えます」

保守的な家庭で育ったジェニファー

 ジェニファーは『Absolutely Not』のなかで、共和党支持者の考え方を知っていることはプラスであると話している。しかし大人になり、家族から離れた世界で社会を見て成長したことで、自分の信念が変わり始めたという。とくに、政治的な考え以前に、法を守らなかったり、差別発言が多かったりするドナルド・トランプ氏が選ばれたことは、ジェニファーに大きな変化をもたらしたそう。

 「変な話ですが、共和党支持者としての視点を持っていることに感謝しています。共和党支持者の家庭に育ち、税金や宗教のためには共和党に投票すべきだって聞いて育ったことに感謝しています。そして、そうですね、自分が成長して世界全体の市民となって、私個人の信じるものは変わり始めました」

 「共和党の支持者の家庭に育ったことは幸運でした。共和党の公約のいくつかが与える財政的な恩恵が見られたからです。社会問題に関しては自分の考え方とは合わないことはありました。でも、私にとっては、ドナルド・トランプが選ばれてすべてが変わったんです」

 「弾劾された大統領で、多くの法を破り、白人至上主義を非難することを拒否した。そこに線が引かれてしまった。それは正しいこととは思えません。それは私にとって物事を変えました」

女性の権利、人種差別、ジェニファーが思うこと

 ジェニファーは、これまでにも年を重ねて経験を積むなかで、考えが成熟してきたことを明かしている。ハリウッドでの男女間における深刻な賃金格差が発覚した後の2015年には、それまではめんどくさいとか図太いと思われないようにしており、「その考えで良いと思ってた。あの給与記録をインターネットで見て、自分が過去に一緒に働いたすべての男性が、『めんどくさい』とか『図太い』とかを全然気にしてないことに気づくまでは」としたうえで、自分の中で出た結論をこう話した。

画像: 女性の権利、人種差別、ジェニファーが思うこと

 「自分の意見を表明するのに『可愛らしい』方法を探して、好かれるタイプでいるのを止めた。そんなの、クソッタレ」

 そして、2015年にアメリカのコロラド州で妊娠中絶を行なう病院で銃乱射事件が発生した際には、自分の親が非常に敬虔なキリスト教徒だったためにコンドームを手に入れることすら困難だったという自分の過去を明かし、女性の権利をサポートしていた病院側を擁護した。

 しかしアメリカでは、その後2019年に、アラバマ州で多数派を占める共和党が提案した中絶を禁止する法案が可決された。レイプによる妊娠も対象となるもので、著名人や国民から多くの批判が巻き起こった。そしてジェニファーの出身地であるケンタッキー州でも、胎児の心拍が検知できるようになった時点で人工中絶を禁止するという州法に知事が署名している。

 また、彼女が生まれ育ったケンタッキー州ルイビルでは、今年2020年3月に救急救命士として勤務していた黒人女性ブリオナ・テイラーが、就寝中に3名の白人警官に発砲されて命を落としている。3名の警官は、いまだにブリオナの死の責任を問われていない。この件を含めて起こっている大規模な人種差別反対運動ブラック・ライヴズ・マターに対してトランプ大統領が否定的な姿勢を見せるなか、この運動を支持するジェニファーは、ダニエル・キャメロン司法長官に向けてブリオナの件でルイビル市民として責任を求めるとコメントした。

 生まれ育った家庭や環境が、個人の価値観に与える影響は大きい。そんななかジェニファーが、成長して考えが変化することもあると伝えることには大きな意味がある。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.