セレブ界は「マライアファン」だらけ
「マライア・キャリーは私のすベて」
(ツイッターより)
「私は生涯ラム(※マライアファンの愛称)だから」
(インスタグラムより)
「心から敬愛している。彼女が大好き。聖書に名前が刻まれた方が良いくらいの存在」
(ロンドン公演MCより)
「彼女の歌声はまさに楽器。もはや信じられない」
(トーク番組『ホワッチ・ホワット・ハプンズ・ネクスト』より)
「(マライア・キャリーやボーイズ・II・メンなどの曲は)学校のイベントだったりBBQだったり、僕が踊って育った曲なんだ。(中略)アルバム『24K・マジック』では当時の自分が(そういった楽曲を通して)感じた思いを再現したかった」
(トーク番組『The Charlie Rose Show』より)
「一番好きな女性シンガーはマライア・キャリーかな」
(Sébastien Cauetのラジオ番組より)
「マライア・キャリーのミュージックビデオをいつも見ている!彼女はアメージング!」
(ツイッターより)
「昨日、最高な夢を見た。僕はマライア・キャリーのアルバムの発表イベントに友達と参加していて、マライアが『A No No』を僕のために歌ってくれたんだ!ああ!夢のよう!最高の寝起きだったよ」
(ツイッターより)
「もちろん昔からのファンだけど、ベガス(の常設公演)を見に行った今は人生ですべてを成し遂げた気分。アルバム『ミュージックボックス』は全曲が大好き」
(Billboardインタビューより)
マライア・キャリーが尊敬される6つの理由
1. 「ボーカル・トリニティ」として君臨する歌声
マライア・キャリーと言えば、なんと言ったってまずはその歌声。史上最も優れた歌姫のひとりとして、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストンと共に「ボーカル・トリニティ」と称されるほどの歌声の持ち主。
中でもマライアは、その音域の広さと、裏声よりも高いホイッスルボイスと呼ばれる歌い方が特徴。まだ新人だった1990年にNBAファイナルで「アメリカ・ザ・ビューティフル」のラストをホイッスルボイスで歌い上げた時に、それまで直立不動で国旗を見上げていたNBA選手たちがあまりに圧倒されてざわつく様子は、マライアという歌姫の到来が当時どれだけインパクトのあるものだったかを物語る名シーンとして語り継がれている。
ホイッスルボイスはどう出ている?
マライアは自身のホイッスルボイスについて、「横隔膜からきていて、ここ(※胸に線をひく)をあがっていくの。この歌声には2種類の異なる配置がある。『ヴィジョン・オブ・ラブ』のようなホイッスルボイスと、『エモーションズ』のラストのハイパートのようなね」と米Pitcheforkに明かしている。
「ヴィジョン・オブ・ラブ」
「エモーションズ」
2. R&B界を代表するソングライターの1人
シンガーとしての実力がすごすぎて見過ごされがちだけれど、ソロシンガー最多の19曲の米No.1ソングを持つマライアは、うち18曲でソングライターを務めた敏腕ソングライターでもある。
デビュー前は午前1〜2時までウェイトレスとして働き、その足でスタジオに行って朝の8時までソングライティングをしていたという努力人のマライア。米No.1に輝いたデビューアルバム『マライア・キャリー』をプロデュースしたベン・マーグリーズは、「彼女には耳にした何かから曲を築き上げる能力があった」と米The New York Timesで絶賛した。
2020年にソングライターの殿堂入りした時には、「ワオ!(リース・ウィザースプーン)」、「おめでとう!当然の評価!(ミリー・ボビー・ブラウン)」、「この栄誉に値する人は他にいない(キャサリン・マクフィー)」と、セレブ界からも“やっと”とお祝いする声が多く上がった。
普通だったらここまで多くのNo.1ソングを制作したスキルは大きくスポットライトを浴びるけれど、歌がうますぎてそこが過小評価され気味なところも、さすがマライアと言える。
3. 90年代を代表するファッションアイコン
90年代に流行したファッションやアイテムを身に着けるのが90年代を知らない25歳以下のZ世代のあいだで流行っているけれど、マライアは、90年代を代表するファッションアイコンの1人。ドルチェ&ガッバーナから、ヴェルサーチ、シャネルまで、90年代のファッションショーのフロントロウに欠かせない存在だった。
自身も、「恋人たちのクリスマス」でのタイトなサンタスーツをはじめ、多くのアイコニックなファッションを生み出したマライア。なかでも、1997のMTV VMAで着たハイカットのツーピースはアイコニックなルックとして当時大きく話題になり、2018年のBETアワードではZ世代であるシンガーのノーマニがこのルックを完コピしてマライアをオマージュした。
4. 男社会のなか突き進んできたパワフル女性
マライアは“ワガママ”や“高飛車”というイメージが先行することが多いけれど、これもすべては、彼女が昔から、強く意見できるパワフルな女性であり続けたから。
音楽界が今よりはるかに男性中心の業界だった時代から第一線で活躍しているマライアは、レコーディング中に男性プロデューサーに自分の手柄を独占されたり、“女性同士は仲良くできない”というステレオタイプを助長するようにホイットニー・ヒューストンとの不仲説を囁かれたり、1回目の結婚では夫のトミー・モトロラに行動すベてを支配されるほどの束縛を受けたりと、様々な壁に直面してきた。
マライアはそういった難関に直面するたびに、異論を唱えたり、絶縁したりと、アクションを起こしてきた。今でこそ “エンパワーメント”と称賛されるようなことだけれど、当時はこれが“ワガママ”ととらえられた。
あまり接点がなさそうに見えて、アリアナ・グランデやケイティ・ペリーといった今の時代のフェミニスト歌姫の延長戦上には、音楽界で女性アーティストの存在感を強く示したそんなマライアの行動があった。
5. 四年代で1位を達成した初のアーティスト
マライアの凄さは、時代ごとに何度も売れていることでもある。
90年代はバラード/ポップ色が強い楽曲で時代を代表したマライアは、2000年代には、R&B /HIP-HOP寄りのアルバム『MIMI(原題:The Emancipation Of MIMI)』や『E=MC²』で当時の若い世代に大反響を得て“再ブレイク”。昔からの根強いファンがいながら、新しい世代のファンにも愛され続けているマライアは、全米シングルチャートで'90、'00、'10、'20年代の4つの年代にわたり1位を獲得した史上初のアーティストでもある。
6. ファンの期待に応え続けている
自身のファンたちを、羊という意味にあたる「lambs(ラムズ)」や「lambily(ラムビリー)」と呼んで愛するマライア。
大御所でありながらSNSをファンとの交流ツールとして最大活用しており、シャンパン片手にゴージャスなドレスのままプールに入る動画や、ハイヒールでエクササイズする写真を公開したり、高音ボイスで“ボトル・キャップ・チャレンジ”に挑戦したりと、ファンが求める“マライア像”を的確に捉えたをコンテンツを定期的にアップしてファンをつねに喜ばせている。
Challenge accepted! #bottletopchallenge pic.twitter.com/Rygijd6z5W
— Mariah Carey (@MariahCarey) July 7, 2019
^ まわし蹴りでボトルのキャップを開けるボトルキャップチャレンジでは、やるフリをして高音ボイスでボトルを倒す、というおもしろ動画を公開。
そんなマライアの“ファン思い”ぶりはキャリアの節々にも現れており、2018年に来日したときには、日本での「恋人たちのクリスマス」人気を知って、まだ11月だったのにセットリストに同曲を加えてファンを沸かせた。
デビュー30周年イヤーにビッグサプライズ!
そんなマライアだけに、デビュー30周年にあたる2020年にはビッグなサプライズを連発!
まず9月29日には、初となる自伝本『The Meaning of Mariah Carey(原題)』を全米発売。予約販売だけで米Amazonランキング1位を獲得した同作についてマライアは、「浮き沈みや、大成功とトラウマ、大失敗と夢といった、今の私を形を作った瞬間の話がしたい」としており、初告白される秘話やエピソードがファンを盛り上げている。
そして10月2日には、いろいろな事情で非公開となった幻の楽曲を集めたニューアルバム『レアリティーズ』を世界同時発売。アルバムには、ローリン・ヒルとのコラボ曲「セイヴ・ザ・デイ with ローリン・ヒル」のほか、初のデモテープ音源「ヒア・ウィ・ゴー・アラ ウンド・アゲイン」(1990)、日本を代表するアーティストYELLOW MAGIC ORCHESTRA による名曲「Firecracker」をサンプリングした「ラヴァーボーイ (Firecracker Original Version)」(2001)、朋友でもあるジャーメイン・デュプリとの「ワン・ナイト」 (1995)や「クー ル・オン・ユー」(2007)、そして2020年新録となる「クローズ・マイ・アイズ(Acoustic)」など全15曲がDISC-1に収録。
さらになんと、マライアをひと目見ようと延べ15万人が来場した洋楽史に残るデイドリーム・ツアー来日公演より、1996年3月7日の東京ドームでの初来日公演のライヴ音源をDISC-2に収録。そして日本盤のみ豪華3枚組で、同公演のフルライヴ映像が高画質化されてBlu-rayにて追加収録されている。
天才級な音楽の才能は当然のことながら、人一倍の努力、まわりに流されない自信、カリスマ性のあるキャラクター、そしてファン心理を理解したセルフマーケティングと、マライアの現在の地位は、そんな数多くの魅力の上に築かれていた。歴史的歌姫の30周年に、今一度彼女の楽曲やレガシーを振り返りたい。
マライア・キャリー Mariah Carey
アルバム『レアリティーズ/The Rarities』
購入・ダウンロードはコチラ:https://mariahcarey.lnk.to/TheRaritiesMC30
- ヒア・ウィ・ゴー・アラウンド・アゲイン(1990) ※初のデモ曲
- キャン・ユー・ヒア・ミー(1991) ※バーブラ・ストライサンドに歌ってもらいたくて作った曲
- ドゥ・ユー・シンク・オヴ・ミー(1993) ※「ドリームラヴァー」のB面
- エヴリシング・フェイズ・アウェイ(1993) ※「ヒーロー」のB面
- オール・アイ・リヴフォー(1993)※本人も存在を忘れていたレア曲
- ワン・ナイト(1995)※ジャーメイン・デュプリとの初期コラボ曲
- スリッピング・アウェイ(1996) ※「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」のB面
- アウト・ヒア・オン・マイ・オウン(2000)※映画『グリッター』に使われなかった曲
- ラヴァーボーイ (Firecracker Original Version) (2001) ※「ラヴァーボーイ」のオリジナルバージョン
- アイ・プレイ(2005)※12歳の子リナに捧げた曲
- クール・オン・ユー(2007) ※ジャーメイン・デュプリとのコラボ曲
- メズマライズド(2001) ※ロリス・ホーランドとのセッションから誕生した曲
- バードランドの子守歌(Live)(2014) ※マライアお気に入り曲のライヴ版
- セイヴ・ザ・デイ with ローリン・ヒル(2020) ※ローリン・ヒルとのコラボ曲
- クローズ・マイ・アイズ(Acoustic) (2020)※パーソナルな曲のアコースティック版
Photos: ゲッティイメージズ、ニュースコム、Mariah Carey/Twitter
(フロントロウ編集部)