俳優のジョニー・デップが自分のことを「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼んだ英The Sunを名誉毀損で訴えた裁判で敗訴した。(フロントロウ編集部)

ジョニー・デップ、英紙との名誉棄損裁判で敗訴

 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどの出演作で知られる俳優のジョニー・デップが、自身を元妻で俳優のアンバー・ハードに対して暴力を振るった「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼んだイギリスの大衆紙The Sunを発行するNew Group Newspapers(以下NGN)を名誉毀損で訴えた裁判で、英裁判所は、現地時間の11月2日、ジョニー側の訴えを棄却した。

 裁判を担当したアンドルー・ニコル判事は、The Sunがジョニーがアンバーに対して暴力的だったと報じたことは、「実質的に見て事実に反していない」と判断。「原告(ジョニー)は、訴因に関する必要な要素は証明しましたが、名誉棄損の訴えを証明することに失敗しました。被告(NGN)は、彼らが出版した言葉は実質的に事実であることを証明しました」、「被告(NGN)が提出した14件の事件および、原告(ジョニー)側が提出した証拠を詳しく検証した結果、この結論に至りました」と発表した。

画像: ジョニー・デップ、英紙との名誉棄損裁判で敗訴

 今年7月にはロンドンの高等法院で16日間に及ぶ裁判が行なわれ、The Sunが自身がアンバーにドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力/DV)をはたらいたとの疑惑を報じたことに対し、ジョニー側はDVの事実はなく、アンバーがウソをついているとして全面的に否定。アンバーが婚姻中に複数の人物と不貞をはたらいていたことを指摘し、DVの被害者はむしろ自分の方であると反論した。

 NGN側の証人として出廷したアンバーは、交際中や婚姻中にアルコールや薬物を乱用して正常な精神状態になかったジョニーから、再三にわたり激しい暴力を振るわれたと主張。ドラッグや酒により酩酊状態となったジョニーが床に倒れている様子やコカインや酒、麻薬を使用する際に使う道具がテーブルの上に並ぶ写真などを証拠として提出した。

 ジョニーとアンバーの生々しい喧嘩の模様や、複雑な関係が露呈した裁判は、イギリスにおける「21世紀最大の名誉棄損裁判」とも称され、大きな注目を集めたが、約3ヵ月におよぶ審議の末、ジョニー側の敗訴が確定した。


でも、まだ終わりではない 戦いの舞台はアメリカへ

 イギリスでのNGNを相手取った裁判では訴えが棄却されてしまったが、ジョニーとアンバーのドロ沼裁判はこれで終わりではない。

 ご存知の方も多いと思うが、ジョニーは、アメリカで、アンバー本人を相手取り損害賠償を求める裁判を起こしている。2019年3月、ジョニーは、アンバーが米Washington Postを通して発表した、自身にDVを受けたとする文書が名誉毀損にあたるとして、約56億円(5,000万ドル)の損害賠償金を求めてアンバーを訴えた。

 判決を受け、アンバーの弁護士は英BBCに出した声明を通じて、「ロンドンの高等法院で行なわられた裁判に出席した人たちにとっては、今回の判決は驚きではありません。間もなく、アメリカで行なわれる裁判でも、さらに多くの証拠を提出する予定です」とコメント。「私たちはアンバー・ハード氏の言論の自由を守り、正義をもたらすため全力を尽くします」と、アメリカの裁判でも徹底抗戦する構えを見せた。

 ジョニーがアンバーを直接訴えている裁判は、もともと2021年2月末に行なわれる予定だったが、新型コロナウイルスの影響により、ジョニーの映画『ファンタスティック・ビースト』最新作の撮影時期と重なってしまうため、ジョニー側が2021年3から6月の間に延期することを裁判所に求めている。(フロントロウ編集部)

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