【プロフィール】アシュニコとは?
名前の由来
アシュニコは、本名のアシュトン・ニコール・ケイシー(Ashton Nicole Casey)をかけ合わせたステージネーム! 14歳の頃から使っている名前なのだそう。
アメリカ生まれ、インターネット育ち
カントリー音楽で有名な米ノース・カロライナ州に生まれたアシュニコは、「私はインターネットに育てられたの」と語る。Tumblrでインターセクショナル・フェミニズム(※)をはじめとした社会問題にまつわる知識を広げ、10歳でM.I.A.を聴いてからラップのトリコに。学生当時からトガったリリックを書き始め、先生にまつわるエロい詩を書いて停学になった
こともあると米Billboardに明かしている。
※インターセクショナル・フェミニズム:女性の間でも、その女性のアイデンティティ(年齢、人種、民族性、社会的階級、宗教など)によってジェンダー平等の壁は異なることを認め、多様に存在する女性の問題に取り組むことを目標とする考え方。
ロンドンを拠点に活動
10代前半の頃に家族の事情で、アメリカから遠く離れたエストニアとラトビアを転々としたアシュニコ。現地の公立校に“外国人”として通ったアシュニコは、孤独を紛らわすために週末にはロンドンに飛び、オープンマイクでパフォーマンスしていたと米All Access Musicに話す。そして18歳の時に、単身ロンドンに移住。それ以来、イギリスを拠点にしている。
女性差別の経験が「アシュニコ」を誕生させる
ロンドンでは、ナイトクラブでドリンクを売るなど夜間のアルバイトをかけもち。そこで、男性たちに同意なく体を触られたことが彼女の怒りに火をつけ、男性優位な制度や考え方を打倒することが音楽の使命に。こうして、「アシュニコ」というアーティストが誕生した。
音楽業界もアシュニコに注目
TikTokで160万以上のフォロワーを持つアシュニコは、英Guardianが2020年の注目アーティストとして挙げているほか、イギリスの人気バンドであるブリング・ミー・ザ・ホライズンのボーカル、オリヴァー・サイクスも「実存する最高にクールな人」と称えている。
【ファッション&ヘア】アニメ女子なビジュアル
ブルーヘアには“女性の解放”への願いが込められている
アシュニコのビビッドな青い髪には、若い女性がありのままの自分でいられるような社会になるようにという願いが込められている。あっと目をひくブルーヘアのアシュニコが音楽界で成功することこそ、“こうじゃないと可愛くない、受け入れてもらえない”という固定概念への最高のリベンジ! アシュニコは自分が先頭に立って自由な髪型をすることで、女性たちをそんな固定概念から解放しようとしている。
仮装キャラを具現化したようなビジュアル
アシュニコのビジュアルに影響を与えているのは、アニメ、漫画、映画、ゲームなどに登場するフィクションのキャラクターたち! ミュージックビデオやカバーアートにもそういった作品の世界観が現れている。
憧れNo.1はセーラームーン!タトゥーも入っている
『Re:ゼロから始める異世界生活』や『食戟のソーマ』、『ワンパンマン』、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』など、日本のアニメや漫画が大好きなアシュニコ。なかでもとくにアシュニコが大好きで、彼女のビジュアルに影響を与えているのが、『美少女戦士セーラームーン』。腕にムーンスティックのタトゥーが入っているほど陶酔している!
フェムドム(FemDom)なエネルギーでも話題
アシュニコのリリックやビジュアルは、性的な関係において支配的な役割を果たす女性を指す“フェムドム(FemDom)”と称されることがあり、ブリット・アワード2020に約3メートルのロングヘアを2人の男性に持たせて登場した時には、アシュニコ本人がこのスタイルを「フェムドム」と称した。
【代表曲】反家父長制を強めにラップ
スチューピッド/STUPID
バカな男は私に必要とされていると思っている/私は季節が変わるように冷たくなる/悪魔のように怒りに燃える/理由もなくゴーストする(※急に音信不通になるという意味のスラング)/バカな男は私に必要とされていると思っている
TikTokでマイリー・サイラスもダンス動画を投稿するほどの大人気となり、Spotifyで1億回以上も再生されて大ヒット中の「スチューピッド」。
“バカな男はいらない”という思いを込めた同曲を振り返り、アシュニコは「男のベビーシッターをしたり、男のセラピストになったり、他人の息子を育てたりするヒマは私にはない。私は自信に満ち溢れた女性なの」と米Geniusに語っている。
MVでは、フィーチャリングアーティストのヤング・ベイビー・テート(Yung Baby Tate)と共に“バカな男たち”を殺戮していく。
デイジー/DAISY
プリンセスなんて願い下げ 私は王様/頭を垂れて私のリングにキスしなさい/ビッチになることが私を興奮させる
曲ごとに違うキャラクターになるというアシュニコ。
パワフルな女性の気持ちをストレートにシャウトする「デイジー」は、夜な夜な街に繰り出してレイプやペイトゥリアーキィ(家父長制)と闘う女性を想像して作られたそう。
デイジーという花は歴史的に、女性の繊細さやピュアさを表すために使われてきたシンボル。一方で、実際には厳しい環境の中でも咲くことができる強い花でもある。「デイジー」という曲名は、社会で作られたか弱いイメージを壊す女性の姿に重ねられている。
ハイ、イッツ・ミー/HI, IT’S ME
ハイ、また私だよ/彼にその価値はないとリマインドしにきました/ハイ、私だよ あなたの親友/彼の古いTシャツは脱ぎ捨てて燃やしましょう/こう言ってください、『もう吹っ切れた』
「自分が経験したすべての失恋と、自分が自分自身としためちゃくちゃな会話のすべてを注いだ」とツイッターでアシュニコが明かした「ハイ、イッツ・ミー」。
ダメな男を受け入れようとする自分の前に、もう1人の自分が現れてその間違いを正す様子が歌われている。
ワーキング・ビッチ/WORKING BITCH
私は仕事をしているビッチなの/ディック(※男性器のこと)の相手をしてる時間はない/私の注意をそらしたいんだろうけど/私は仕事してるの、ビッチ
「ワーキング・ビッチ」は、アシュニコが経済的な自立をはっきりと主張する曲。自分にはキャリアと自分自身があるから男性はあくまで二番手だけど、それでも良いなら相手してあげると歌う。
未来のカントリーパーティーを舞台にしたMVでは、Dollywood(ドリーウッド)という言葉が。これは、1980年代に女性の社会進出のアンセムとなった「9時から5時まで」を作ったフェミニストアイコンであるカントリーシンガーのドリー・パートンへのオマージュかと思われる。
スペシャル/SPECIAL
あなたはスペシャルじゃない あなたは可愛くない/ストライクひとつで退場/ポテンシャルはあったのに/ファックボーイ(※相手を思いやらない自己中心的な男性のこと)というタトゥーを入れた方がいいね/どうでもいい/ひとりでヤル時の方が楽しいし/ヒット・アンド・ラン/ランチのように私のアソコを食べなさい
MVでアシュニコが男性モデルたちを品定めする「スペシャル」では、女性をもてあそぶ自己中心的な男性たちに“あなたなんて大したことない”というメッセージを送る。
歌詞では、TLCの「スクラブス(※)」やテイラー・スウィフトの「ティアドロップス・オン・マイ・ギター(※)」へのオマージュが見られ、こういう細かい演出は、女性アーティストの曲を聴いて育ったというアシュニコらしい。
※「Bad boy in your best friend's car」という歌詞は「スクラブス」の「Hangin' out the passenger side of his best friend’s ride」という歌詞へのオマージュで、「Teardrops on your Fender guitar」という歌詞は「ティアドロップス・オン・マイ・ギター」にオマージュを捧げているよう。
【デビュー作】『デミデビル/DEMIDEVIL』
アシュニコは2021年2月19日に、デビューミックステープ『デミデビル(DEMIDEVIL)』をリリースすることが決定!
「小さな悪魔でいるのが好きなの。揉め事を起こす小さなデビル」と笑いながら、半分という意味のDEMIと悪魔という意味のDEVILを合わせたタイトルの背景を明かしたアシュニコ。
全10曲が収録された『デミデビル』には、前述した「Daisy」のほか、個性派アーティストのグライムスとコラボした「Cry」、幼稚な男性にかまっているヒマはないと歌う「L8ter Boi」(※アヴリル・ラヴィーンの「スケ8ター・ボーイ」を文字っている)、ケリスの曲をサンプリングした「Deal With It」、プリンセス・ノキアをフィーチャリングして女性への恋愛感情を歌った「Slumber Party」、音楽界へのフラストレーションを歌った「Little Boy」と「Toxic」、ハイパーなパーティーアンセム「Drunk With My Friends」、クリストリスのミュージカルをテーマにした「Clitoris, The Musical!」、そして、アシュニコが感傷的な側面を見せる「Good While It Lasted」と、アシュニコの怒り、喜び、強さ、繊細さを知ることができる楽曲がずらりと収録されている。
グライムスをフィーチャリングしたシングル「クライ」のMV。
【来日】19歳の時に来日!日本で公演がしたい
19歳の時に実はすでに来日済みだったアシュニコ。
アシュニコは2020年3月からスタートするはずだったドージャ・キャットのホット・ピンク北米ツアーに参加するはずだったものの、新型コロナウイルスの感染拡大のためこちらはキャンセルに。
そんな状況のためすぐの来日公演は難しいけれど、本人は日本のファンに向けて「応援してくれて本当にありがとう!『デミデビル』のリリースをとても楽しみにしているし、日本でショウをするのが待ちきれないです♡」とメッセージを送っているので、ツアーがある場合はきっと日本にもきてくれるはず!
<作品情報>
アシュニコ/Ashnikko
『デミデビル/DEMIDEVIL』
デビューミックステープ
2021年2月19日発売予定
Photos: Ashnikko/Instagram, Ashnikko/Facebook, ゲッティイメージズ、ニュースコム
※ソースの記載がない発言はWarner Music提供。
(フロントロウ編集部)