2009年公開の映画『南の島のリゾート式恋愛セラピー』に出演した俳優のフェイゾン・ラヴが、肌の色を理由に本作のポスターから削除されていたとして、制作会社を相手取って訴訟を起こした。(フロントロウ編集部)

黒人俳優の姿が宣伝ポスターから「抹消」される

 ヴィンス・ヴォーンやジェイソン・ベイトマンらが脚本を手がけ、クリスティン・ベルらと共演した2009年公開の映画『南の島のリゾート式恋愛セラピー』。本作は、南の島を訪れる4組の夫婦を描いたラブコメ映画で、キューバ系アメリカ人の俳優であるフェイゾン・ラヴもメインキャストの1人として出演した。

画像1: 黒人俳優の姿が宣伝ポスターから「抹消」される

 しかしながら、フェイゾンはアメリカ国内版の本作のポスターには自身も写っていたものの、一部海外版のポスターからは削除されていたとして、今回、製作元であるユニバーサル・ピクチャーズを訴えた。

 本作には、フェイゾンともう1人、彼の相手役を演じたカリ・ホークが黒人俳優としてメインキャストを務めたものの、海外で公開された際には2人ともが一部の国のポスターから削除されていたという。

 国内版と一部海外版のポスターそれぞれを比較した画像はこちら。

画像2: 黒人俳優の姿が宣伝ポスターから「抹消」される

ユニバーサル・ピクチャーズを提訴

 フェイゾンは訴状の中で、ユニバーサル・ピクチャーズはこの映画に「黒人を起用すること自体は問題視していなかった」とした上で、「映画を海外のオーディエンスに宣伝することになった時、ユニバーサル・スタジオは白人と黒人の出演者を隔離させることを決めた」と主張している。

画像: ユニバーサル・ピクチャーズを提訴

 訴状には次のようにも記されている。「ラヴ氏と、黒人の共演者であるカリ・ホークは、海外に向けた主要な広告からは完全に抹消されましたが、一方で、他の『カップル』たちは宣伝の脚光を浴び、世界的なヒットを享受することになりました」。

 「映画はユニバーサルに大金をもたらしましたが、彼らは私の仕事と契約を尊重するのではなく、数十億人もの視聴者たちから私の姿を見えなくしたのです」とフェイゾンは述べている。

 また、フェイゾンによれば、このポスターが公開された当初、プロデューサーのスコット・ステューバーや当時ユニバーサルの代表を務めていたアダム・フォゲルソンから謝罪の連絡を受け、アダムからは、将来的にTVや映画作品で役をもらうことを確約してもらったという。しかしながら、フェイゾンは未だにこの約束が果たされていないとしと明かしており、この約束は彼を怒らせないための対策に過ぎなかったのだろうとしている。

 ちなみに、同様の問題が議論されたケースは他にもあり、2013年には、黒人奴隷の実話を描いた映画『それでも夜は明ける』のイタリア版ポスターが、主演を務めた黒人俳優のキウェテル・イジョフォーではなく、白人であるブラッド・ピットやマイケル・ファスベンダーを全面に押し出したデザインだったことが物議に。また、2015年に映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開された際には、中国版のポスターで黒人俳優であるジョン・ボイエガの画像が縮小されたことが問題となった。

 フェイゾンは今回ユニバーサルを訴えることに決めた理由について、「未来の世代(の黒人俳優)が、自分が経験したような人種差別やホワイト・ウォッシングに耐えなくても済むようにするため」だとしている。現時点でユニバーサルからのコメントは発表されていない。(フロントロウ編集部)

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