Photo:ゲッティーイメージズ、スプラッシュ/アフロ、ニュースコム、Instagram、Twitter
おめでたい報告を有効活用してチャリティに脚光を。「自分の幸せ」で「他人を手助け」しようとするセレブたちが増加中。(フロントロウ編集部)

変わりゆくセレブの『ご報告』

 日本でも、年末年始はとくに、著名人たちが『ご報告』で始まるメッセージで、婚約や結婚、出産といった人生の節目となるおめでたい報せを投下することが多いけれど、海外では昨今、自身の吉報を有効活用して社会貢献に役立てようとするセレブが増えている。

 ひと昔前ならば、セレブの結婚・出産といったニュースは、People誌やUs Weekly誌といった有名なエンタメ系雑誌や、人によってはVogueなどの一流ファッション紙の独占インタビューを通じて発表されてきた。

 有名セレブカップルの赤ちゃんが生まれると、最初に顔写真をお披露目するのはどこのメディアか争奪戦が起こり、億単位の金額が動くことも。

画像: ※イメージ画像

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 リアリティスターのニコール・リッチーと夫でロックバンド、グッド・シャーロットのジョエル・マッデンの長女ハーロウのお披露目写真には約1億1000万円、俳優のマシュー・マコノヒーと夫人のカミラ・アルヴェスの第1子リーヴァイのお披露目写真には約3億3600万円、シンガーのジェニファー・ロペスと前夫のマーク・アンソニーの間に生まれた双子のエメ&マックスのお披露目写真には約6億7200万円、そして、俳優のアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの双子の実子ノックスとヴィヴィアンのお披露目写真には、史上最高の15億6800万円の値がついた。

画像: 今となっては別れてしまったアンジェリーナとブラッドは、あらゆる困難に瀕した人々を救う目的で共同設立したジョリー・ピット基金にこの契約金を寄付。さらに、2014年に家族だけで行った結婚式の写真も約2.6億円ずつで米People誌と英Hello誌に独占掲載権を売り、同基金に寄付した。

今となっては別れてしまったアンジェリーナとブラッドは、あらゆる困難に瀕した人々を救う目的で共同設立したジョリー・ピット基金にこの契約金を寄付。さらに、2014年に家族だけで行った結婚式の写真も約2.6億円ずつで米People誌と英Hello誌に独占掲載権を売り、同基金に寄付した。

 ツイッターやインスタグラムといったSNSが普及した近年は、メディアを介さず、自分のプラットフォームで直接報告をするのが主流に。

 数千万人単位のフォロワーを持つセレブたちの影響力、訴求力は甚大で、シンガーのビヨンセが2017年に双子のサーとルミの妊娠を発表した投稿は年内最多となる1030万を超える「いいね」を獲得。2018年2月にリアリティスター兼実業家のカイリー・ジェンナーが長女ストーミの出産を報告した投稿には、当時、史上最多だった1850万を超える「いいね」がついた。


おめでたい報せに乗じてチャリティへの寄付を募るセレブたち

 人々の反響をダイレクトに感じられるSNSを通じて、自分たちの人生の門出に関する『ご報告』が世間に与えるインパクトをあらためて自覚したセレブたち。

 すでに著名で、承認欲求など十分に満たされている彼らは、ただ「いいね」やリツイートの数が膨らむだけではもったいないと、喜びの報告を自分たちが気にかけるチャリティと結びつけ、お祝いの代わりに慈善団体やプロジェクトへの寄付を募るというケースが増えている。

スカーレット・ヨハンソン

 映画『マリッジ・ストーリー』や『ブラック・ウィドウ』の俳優スカーレット・ヨハンソンは、2020年10月に行なったコメディ俳優のコリン・ジョストとの挙式報告に、アメリカ全土で食糧難に直面している孤独なお年寄りを救済するチャリティ団体「Meals on Wheels America(ミールズ・オン・ウィールズ・アメリカ)」を紐づけ。

画像1: おめでたい報せに乗じてチャリティへの寄付を募るセレブたち

 同団体の公式インスタグラムを通じて結婚を発表し、「結婚に際する夫妻の願いは、『ミールズ・オン・ウィールズ・アメリカ』への支援を通じて、弱い立場にあるお年寄りのみなさんが置かれている困難な状況を改善する手助けがしたいということです。みなさん、どうか、幸せなカップルを祝福するために、プロフィール欄のリンクをクリックして、寄付をご検討ください」と、支援を募った


ケイティ・ペリー&オーランド・ブルーム

 2020年8月末に婚約者で映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ロード・オブ・ザ・リング』の俳優オーランド・ブルームとの第1子デイジー・ダヴを出産したシンガーのケイティ・ペリーは、そろって親善大使を務める国連児童基金のユニセフ(UNICEF)の公式SNSを通じて我が子の誕生を報告。

画像2: おめでたい報せに乗じてチャリティへの寄付を募るセレブたち

 新型コロナウイルス禍で医療体制の整っていない地域に暮らす妊婦や新生児を支援するためのページをユニセフのサイトサイト内に立ち上げて、フォロワーたちに協力を呼びかけた


アマンダ・サイフリッド

 映画「マンマ・ミーア!』や『レ・ミゼラブル』の俳優アマンダ・サイフリッドは、2020年9月、夫で俳優のトーマス・サドスキーとの間に第2子となる男の子を出産したことを報告。

画像3: おめでたい報せに乗じてチャリティへの寄付を募るセレブたち

 トーマスのインスタグラムを通じて息子の誕生を公表した夫妻は、戦争の被害を受けた子供たちを支援する団体であるINARAとウォーチャイルドに焦点を当て、4人家族となったことにちなんで「もし支援にご興味があれば、子供たちのためにより良い世界を作るため、素晴らしいこの2団体に毎月4ドル(もしくは44ドル!)の寄付を皆さんにしていただけたとしたら、(今や)4人になった私たちにとって喜ばしいことです」とメッセージを添えた。


寄付以外の社会貢献も

 チャリティへの寄付を募るという方法以外にも、影響力を活用する方法はある。

ブレイク・ライブリー&ライアン・レイノルズ

 ドラマ『ゴシップガール』のブレイク・ライブリーと映画『デッドプール』のライアン・レイノルズは、2019年夏に第3子が誕生したが、プライバシーを重視して、数ヶ月間秘密にしていた。

画像: 寄付以外の社会貢献も

 しかし、同年の10月にライアンの故郷カナダ・ブリティッシュコロンビアで重要な選挙が行われることに合わせて、有権者たちに政治参加を促すことを目的に、第3子の写真を初公開。ブレイクが抱く三女ベティの顔はスタンプで隠されていたが、夫妻が第3子誕生について公に言及するのは初めてだったため、世間から大きな注目を集めた。


誕生日のお祝いにチャリティへの協力を促すセレブも多数

 妊娠・出産、婚約・結婚といった重大な『ご報告』だけでなく、毎年やってくる誕生日を社会貢献に役立てようとするセレブも多い。

 シンガーのビヨンセは、 39歳を迎えた2020年9月4日のバースデーにちなんで全米有色人種協会(NAACP)とタッグを組み、自身が設立した慈善団体「BeyGOOD」を通して約1億円(100万ドル)を寄付。

画像: 誕生日のお祝いにチャリティへの協力を促すセレブも多数

 映画『クワイエット・プレイス』やAmazonプライムで配信されているドラマ『ジャック・ライアン』に主演する俳優のジョン・クラシンスキーは、小児がんを抱える子供たちとその家族を支援する「Family Reach」への寄付を、ディズニーアニメ『アナと雪の女王』の英語版のアナの声やドラマ『ゴシップガール』のナレーションでも知られる俳優のクリスティン・ベルは、オンライン募金サイトGoFundMeを通じて、トランプ政権下で離れ離れとなってしまった移民の家族の再会を手助けするプロジェクトへの寄付を呼びかけた。

 さらに、映画『オーシャンズ8』への出演やNetflixのヒットドラマ『私の"初めて"日記』の制作・総指揮を手がけたミンディ・カリングは、2019年に40歳を迎えたことを記念して40の慈善団体に個人的に寄付を行ない、ファンたちにも協力をお願いした。

画像: 左から:ジョン・クラシンスキー、クリスティン・ベル、ミンディ・カリング

左から:ジョン・クラシンスキー、クリスティン・ベル、ミンディ・カリング

 自分の身に起こった幸せな出来事を、誰かの幸せのために活用しようというセレブたちのこれらの試みは、ポジティブな波紋を広げるもの。セレブたちのリクエストに賛同し、困っている人たちのために救いの手を差し伸べることで、ファンたちはセレブとの一体感を感じられるだけでなく、徳を積むこともできる。(フロントロウ編集部)

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