スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『E.T.』には、ハリソン・フォードが出演していた。ところが、そのシーンはある理由で全カットに。(フロントロウ編集部)

長く愛される名作『E.T.』

 映画『E.T.』は、1982年に公開されたSF作品。映画『ジュラシック・パーク』や『ジョーズ』をはじめ、数々のメガヒット作品を生み出してきたスティーヴン・スピルバーグ監督が手掛けた名作で、現在も多くのファンに愛されている。

 本作は1993年まで、映画歴代興行収入1位を保持していたほどで、幼い子供から楽しめる作品でありながら、大人でも泣ける素晴らしい作品。初公開から38年が経ち、CG技術がかなり発展した現在でも変わらぬ魅力を放っている。

 そんな本作には、実はハリソン・フォードが出演していたことをご存知だろうか。

ハリソン・フォード、『E.T.』に出演していた?

 ハリソンは当時、映画『スター・ウォーズ』シリーズのハン・ソロ役で人気を博していた俳優。『E.T.』公開前年の1981年には、映画『インディ・ジョーンズ』シリーズ第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でスピルバーグ監督と初タッグを組んだ。

画像: ©︎PARAMOUNT PICTURES

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 米EWによると、ハリソンが『E.T.』に出演することになったのは、スピルバーグ監督と友人だったうえに、同作の脚本を手がけていたメリッサ・マシスンと交際していたため。彼は『E.T.』で、実験で使うカエルを全て逃してしまったエリオットを叱り付ける校長先生を演じる予定だった。

 ハリソンは出演するとはいっても顔は映さない予定だったそうで、声と後ろ姿のみでそれを演じたそう。エリオット役のヘンリー・トーマスは当時のことを振り返り、「スティーヴン(・スピルバーグ監督)に会ったとき、最初に口をついて出たのは『僕は『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が大好き』ということだった。ハリソン・フォードは僕のヒーローだったんだ。僕はハリソン(・フォード)に会うことを期待していたから、スティーブンに会うこが楽しみだったんだ」と、『E.T.』出演時のまさかの下心を明かしている。

ハリソン・フォード、『E.T.』に出演したうえで全カット!

 ところが、本編には一度もハリソンは出てこない。なぜなら、ハリソンが出演したシーンは全カットされてしまったから!

画像: スティーヴン・スピルバーグ監督 ©︎UNIVERSAL PICTURES

スティーヴン・スピルバーグ監督 ©︎UNIVERSAL PICTURES

 削除されたシーンでハリソンは嫌な校長先生役として回転椅子に座ったまま話す。その声は椅子の回転に呼応して響き渡り、校長室のブラインド越しに聞こえてくる「(エリオットは)自分たちにとって最悪の敵だ」という校長先生の仲間の声と混ざり合う。そんな状況の中でも、エリオットは遠く離れたE.T.と交信していた。ところが、そんなフィルムノワール的なシーンとハリソンの存在感はむしろ映画の中で浮いてしまい、結局丸ごとカットするハメに。

 エリオット役のトーマスはこの時の思い出を米EWのインタビューで振り返り、「あれは僕にとってとても重要な日だった」と語る。続けて、自分のヒーローと初対面した日のことについて笑いながら、「(その日は)黙っているうちに終わったよ」と笑った。(フロントロウ編集部)

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