「サンタクロース」の訪問により70名以上が新型コロナに感染
集団感染が起きたのは、首都ブリュッセルに次ぐベルギー第2の都市アントワープにある、169名が入居する高齢者福祉施設。スーパースプレッダーとなったのは、入居者のうちの1人の息子が扮した「サンタクロース」だったという。
ホリデーシーズンに家族に会うことができず、寂しいお年寄りたちを励まそうと、マスクを着用して施設を訪れたサンタクロースだったが、写真撮影の際にはサービスとしてマスクを外す場面も。
サンタクロースに扮した男性は、訪問後の検査で新型コロナウイルスに感染していることが判明したが、数日後には、入居者とスタッフ57名の感染が確認。その後、75名の感染が確認された。感染者のうち61名が入居者、14名がスタッフだという。
善意が悪夢に転じてしまった今回の件に関して、同施設があるモル町の町長は「善かれと思って行なわれた事が、悪い方向に進んでしまいました。ケアホームにとっては、非常に暗い日です。サンタクロースを演じた男性および訪問を企画した施設スタッフたちは、とても心を痛めています」と現地テレビ局の取材にコメントしている。
集団感染が起きてしまった老人ホームでは、現時点では死者が出たという情報はないが、高齢者は新型コロナウイルスに感染し、悪化すると命の危険に直面ケースもあるだけに、現地の医療スタッフたちは、これ以上感染が広まらないよう最善を尽くしているという。
幸せを届ける存在であるサンタクロースが、よりによって最も抵抗力が弱いお年寄りたちに新型コロナウイルスという望まれない贈り物を届けてしまった、という最悪の報せにベルギー国内だけでなく世界中に衝撃が走っている。
施設運営会社の責任者は、スーパースプレッダーとなったサンタクロース役の男性や企画者たちに罰則を与えるつもりはないという意向をThe Brussel Timesを通じて表明している。(フロントロウ編集部)