歌詞を解説！マイリー・サイラスがアルバム『プラスティック・ハーツ』で歌っているのは誰のこと？

マイリー・サイラスが3年ぶり・通算7枚目のアルバム『プラスティック・ハーツ』を発売。約2年をかけて制作したアルバムは自伝であるというマイリー。では、2020年で28歳になったマイリーにここ数年で起きたできごととは？　今のマイリーから見える景色とは？　アルバム『Plastic Hearts』の歌詞からマイリーの素顔を徹底解剖！

アルバム『プラスティック・ハーツ』
発売中（12月16日(水)日本盤CD発売）
●SICP-6368 / 2,200+税
●歌詞・対訳・解説付き
●初回仕様限定封入ポスター付き※日本盤CD初回生産分限定
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プリズナー feat. デュア・リパ

　デュア・リパとコラボした「プリズナー」について米Apple Musicで語ったときに、2020年は新型コロナウイルスの流行によりステイホーム状態が続いたため、「押し殺して影響されないようにしてきたすべてのことが表面化されてきた」と分析したマイリー。

　マイリーが、“押し殺して影響されないようにしてきた”ことには、2020年1月末に離婚が成立した俳優リアム・ヘムズワースとの別れが、そのひとつとしてあるのかもしれない
。マイリーとリアムは2009年に映画『ラスト・ソング』で共演してから破局と復縁を繰り返しつつ交際し、2018年末に結婚。しかし2019年8月に破局を発表した。

　同曲に少なからずリアムの影響があることを表すように、同曲には、リアムとのブレイクアップソングと言われる2019年の曲「スライド・アウェイ」の「I'll go back to the city lights（私は街の明かりに戻る）」という歌詞に類似した、「I try to replace it with city lights（街の明かりで替えようとしているの）」という歌詞が登場する。

WTF・ドゥ・アイ・ノウ

　結婚を「気晴らし」だったかもとさえ言ってのけ、過去の恋愛から気持ちをすがすがしく切り替える攻めのロックナンバーである「WTF・ドゥ・アイ・ノウ」は、元夫リアム・ヘムズワースに宛てた曲と言って良さそう。

　トーク番組『スカヴラン』でリアムとの破局をここ数年で起きた「トラウマと喪失」のひとつとして挙げたマイリーは、「（過去を）吹っ切って前に進む女性は冷たいというネガティブなイメージを持たれがちだけれど」と問題提起したうえで、「私はあまり長いこと泣かなかった。私が冷たいからとか感情がないからってわけじゃなくて、泣いていても状況は変わらないから。自分の力では変えられないことにエネルギーを使い続けるのはやめようと頑張ったの」と、一見冷めて見える“相手を吹っ切る”というアクションに隠されたポジティブな思いを明かした。

エンジェルズ・ライク・ユー

　「エンジェルズ・ライク・ユー」は、マイリーが相手の気持ちに応えられない思いをしっとりと歌いあげる、アルバムの中では数少ない繊細なバラード。この曲は、マイリーとリアムの破局が発表された直後に交際した、リアリティドラマ『ザ・ヒルズ：ニュー・ビギニングズ』に出演していたブロガーのケイトリン・カーターに宛てた曲である可能性が。

　3年ほど前から友人としてお互いを知っていたマイリーとケイトリンは、それぞれが夫との別れを発表した直後の2019年8月に、一緒にヨーロッパ旅行へ。そこでロマンスに発展し、現地で濃厚なキスをする姿が目撃されたあと、9月にはほぼ同棲状態に。インスタグラムなどでお互いを「ベイビー」と呼び合いラブラブだったものの、9月後半に突然の破局。当時は、“軽いロマンスのつもりが急速に真剣になりすぎていたためマイリーが別れを告げた”と報じられた。破局後、ケイトリンは米Elleで「それぞれが（夫との）破局を乗り越えようとしていた時に一緒にヨーロッパを旅行した」ことを認め、「メディアでは“ひと夏の恋”や“同性同士の情事”などと報じられることが多かったけれど、これはそれ以上のものだった」と、マイリーとの交際は自分の人生に大きな影響を与える出来事だったと話した。

　「惨めさは誰かと一緒にいたがる」という歌詞が、離婚後に一緒に傷心旅行した2人の姿に重なる同曲「エンジェルズ・ライク・ユー」。マイリーは「名前ではなくベイビーと呼んでくれる」相手に宛てた同曲で、「尽くされれば尽くされるほど　いらなくなる」と、真剣になればなるほど冷めてしまう自分は「あなたにふさわしくない」と歌う。

ギミー・ホワット・アイ・ウォント

　ケイトリン・カーターとは真剣になり始めていたから別れたと報じられたけれど、「ギミー・ホワット・アイ・ウォント」の歌詞を聞いていると、この報道はあながち間違いではないよう。「わかるわ　こんなの初めてでしょ／焦らないで　抗えないだろうけど」という歌詞から、この曲は、マイリーとの交際が初めての女性とのロマンスだったことを認めているケイトリンが題材な可能性が高い。

　ケイトリンに宛てた可能性がある楽曲でマイリーが求めるのは、“恋人ではなく今の欲望だけを満たしてくれる相手”。ケイトリンと交際を始めたとき、マイリーはリアム・ヘムズワースとの長い関係にピリオドを打ったばかり。だからこそ、ケイトリンにはライトなロマンスを求めていたのかもしれない。

ネヴァー・ビー・ミー

　社会的にある“アイドルらしさ”、“女性らしさ”、“妻らしさ”を求められても、自分にはそれは与えられないというメッセージを繰り返してきたマイリー節がこの曲でも炸裂。

　そんなマイリーといえば、リアムとの復縁にインスパイアされた前作『ヤンガー・ナウ』では、よりオーガニックなサウンドとルックスで愛にあふれた曲を歌ったのが記憶に新しい。同曲「ネヴァー・ビー・ミー」で歌われているような内容は影をひそめた作品だったけれど、そんなアルバムについて、マイリーが2020年にラジオインタビューで発言。「相手に自分を失ってしまう時がたまにあるよね。パートナーが悪者という意味ではなくね」として、『ヤンガー・ナウ』はキャリア上唯一「つじつまが合わない」作品と明言。当時は本当の自分らしさから脱線していたとした。

ヘイト・ミー

　2019年にグラストンベリー・フェスティバルに向かう飛行機が別の飛行機とクラッシュしそうになり、九死に一生を得たマイリー。そんなマイリーが、自分が死んだ日には自分を「ヘイト」しないかと歌うこの曲。

　マイリーが「# HateMe」というハッシュタグと共にツイートした動画には、「モラルを当然のことだと思わないで」というメッセージと共に、ハンナ・モンタナ時代のマイリーが父親ビリー・レイ・サイラスと並ぶ写真がフラッシュする。この動画から推測するに、この曲は、自分の行動を批判する世間に向けたものだと思われる。

ハイ

　相手と一緒にいた時の高揚した気持ち（ハイ）を忘れられないと歌う「ハイ」には、リアム・ヘムズワースとの関係をドラッグ依存に例えたマイリーの発言が重なる。

　ジョー・ローガンとのインタビューで、マイリーはこう発言。「私が愛した人について離婚した時に言ってたんだけど、彼は私にとってのおしゃぶりだったと。私は彼を必要としてしまっていたんだって。それは愛じゃなくて心地良さ。脳みそが『これが心地良い』って言うの。でも中毒に流された（罪悪感の）せいで気分は最悪だった。二日酔いみたいなものだよね。彼と寝た次の日は二日酔いなの。彼の元に戻るたびにまた手を出してしまったという気分になった」。

　ちなみにファンの間では、この曲は、マイリーが13〜14歳だった頃に付き合ったニック・ジョナスについて歌った曲だという説が囁かれており、ツイッターでは、「証拠がなくてもいい。これはマイリーとニックの曲」と、切実な願いのような投稿が書き込まれている。

ミッドナイト・スカイ

　アルバムのリードシングルとなった『ミッドナイト・スカイ』のメッセージは、“自分の物語を語る権限を他人に与えず、自分でストーリーを伝える”ということ。

　2020年で28歳になったマイリーは同曲の歌詞で、「永遠に一緒なんて　もうお断り（リアム・ヘムズワースとの離婚）」、「私と彼女の唇が重なる　みんな噂しているわ（ケイトリン・カーターとの交際）」、「彼が私を抱き寄せるあなたの代わりはいないとでも思った？（コーディー・シンプソンとの交際）」と、ここ数年の間に人生を一緒に歩んだ相手に触れならが、最終的には「私は誰のものでもない」という“超自立”を歌い上げる。

日本盤『プラスティック・ハーツ』は限定トラックが収録！

　12月16日に発売されたアルバム『プラスティック・ハーツ』の日本盤CDには、3曲のボーナストラックが収録されるほか、配信アルバムにも収録されていない日本盤CD限定のボーナストラック「フー・オウンズ・マイ・ハート（ライヴ・フロム・ザ・iHeart Music Festival）」が収録。同曲はマイリーが2010年にリリースした3rdアルバム『キャント・ビー・テイムド』に収録されており、2020年9月にオンラインで開催されたiHeartRadio Music Festivalでパフォーマンスした超レアなライヴ音源なので、ぜひ手に取ってみて。

＜作品情報＞
マイリー・サイラス
アルバム『プラスティック・ハーツ』
再生・購入はコチラ

●SICP-6368 / 2,200円 +税
●歌詞・対訳・解説付き
●初回仕様限定封入ポスター付き※日本盤CD初回生産分限定

＜トラックリスト＞
1. WTF・ドゥ・アイ・ノウ
2. プラスティック・ハーツ
3. エンジェルズ・ライク・ユー
4. プリズナー feat. デュア・リパ
5. ギミー・ホワット・アイ・ウォント
6. ナイト・クローリング feat. ビリー・アイドル
7. ミッドナイト・スカイ
8. ハイ
9．ヘイト・ミー
10. バッド・カルマ feat. ジョーン・ジェット
11. ネヴァー・ビー・ミー
12. ゴールデン・G・ストリング
13. エッジ・オブ・ミッドナイト (ミッドナイト・スカイ・リミックス) feat. スティーヴィー・ニックス ★
14. ハート・オブ・グラス (ライヴ・フロム・ザ・iHeart Music Festival) ★
15. ゾンビ (ライヴ・フロム・ザ・NIVA・セイヴ・アワー・ステージズ・フェスティバル) ★
16. フー・オウンズ・マイ・ハート （ライヴ・フロム・ザ・iHeart Music Festival）☆
★…日本盤CD＆配信アルバム限定ボーナストラック（輸入盤には収録されていません）
☆…日本盤CD限定ボーナストラック（輸入盤・配信アルバムにも収録されていません）
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Photos: ゲッティイメージズ、ニュースコム、スプラッシュ／アフロ
※マイリーとリアムが共演した映画のタイトルの誤植を修正しました。

（フロントロウ編集部）