スティーヴン・ユァンがアジア系俳優への差別を語る
ドラマ『ウォーキング・デッド』のグレン役で大ブレイクした俳優のスティーヴン・ユァンが、アメリカで暮らす韓国移民の家族の姿を描いた主演映画『ミナリ』のプロモーションのために、米Varietyのポッドキャスト番組『Award Circuit(原題)』に出演。
自身も韓国のソウルで生まれ、5歳の時に両親とミシガン州に移住した移民であるスティーヴンは、ハリウッドでの成功が難しいとされるアジア系俳優として、これまでに様々な苦悩を経験してきた。『ウォーキング・デッド』で俳優としての地位を確立するまでは、オーディションで無茶振りをされることも少なくなかったそうで、屈辱的な思いをすることも多々あったという。
なかでもスティーヴンの記憶に一番残っているのは、人生で初めて受けたブロードウェイのショー『The Awesome 80s Prom(原題)』のオーディションだといい、その時のことについてこう振り返った。
「オープニングのモノローグを言い終えたあと、『良かったよ。アジア系のアクセントでもう一度やってもらえるかな?』と言われたんだ。正直に言うと、本当はそんなことやりたくなかった。でも、自分の本音とは裏腹にそれが当たり前の世の中だったんだ。今とは時代が違ったからね。クソみたいなアクセントで、適当にその場をやり過ごしたのを覚えてる。それでも彼らは僕に出て欲しいと言った。それだけ当時はアジア系俳優の数が少なく、狭き門だったってことだ」
アジア系というだけで、わざとらしいアクセントで話すよう要求されたことを、“耐えがたい”と感じたスティーヴンは、後日、担当者から電話で「ぜひ君を雇いたい」という言われるも、「断る」と言ってオファーを拒否。当然、先方はスティーヴンがオファーを蹴ったことに大激怒で、内心、「俳優としてあまり良いスタートとは言えないな。誰かを怒らせちゃったし」と思ったそうだが、恐らくこの時に自身の信念を曲げなかったことが、現在の彼の成功につながっているのだろう。
ちなみに、スティーヴンは2019年に映画『バーニング』で、4大批評家協会賞のなかのひとつである全米批評家協会賞の最優秀助演賞を受賞するという快挙を成し遂げている。(フロントロウ編集部)